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2023年11月30日 (木曜日)

初シンタックスのホールズワース 『Atavachron』

超「変態捻れエレギ」の雄、Allan Holdsworth (アラン・ホールズワース) 。4枚目のリーダー作『Metal Fatigue』で、エレギ一本の「変態捻れエレギ」で勝負して、ホールズワースにしか作れない、捻れエレギの傑作を手にした。次はどうするんやろ、と思って聴く5枚目のリーダー作である。

Allan Holdsworth『Atavachron』(写真左)。1986年の作品。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g, SynthAxe), Rowanne Mark (vo, track 7), William Edward Childs (key, tracks 2, 5), Alan Pasqua (key, tracks 3, 4, 6), Gary Husband (ds, tracks 1, 2, 4, 6), Chad Wackerman (ds, tracks 3, 7), Tony Williams (ds, track 5), Jimmy Johnson (b)。クロスオーバー・ジャズ的アプローチに力点が移ったイメージの音作り。

ホールズワースがシンタックスに手を染めた最初のリーダー作になる。シンタックスとは、シンセサイザー+アックス(斧)の合成造語。ギターを斧に見立てて名付けられた「ギター・シンセサイザー」である。

エレギ命の「ホールズワース者」からすると、許しがたい楽器みたいだが、ホールズワースの音作りやフレーズの中に潜む「プログレッシヴ・ロック」な音の要素を全面に押し出すには最適の楽器と僕は評価している。

エレクトリック・ギターとシンタックスが混在して活用されているが違和感がない。それくらい、この盤でのホールズワースはシンタックスに精通している。
 

Allan-holdsworthatavachron

 
英国プログレッシヴ・ロック等で活躍してきたシンセサイザーの基本はキーボード。シンタックスの基本はギター。シンタックスから出てくる音はシンセサイザーの音だが、出てくるフレーズはギターという楽器ならではのフレーズが出てくる。キーボード系のシンセサイザーのフレーズを聴き慣れた耳に新鮮に響く。これが「肝」。

キーボードとギターは運指のアプローチが全く違う。よって、ギターにとっては、キーボード系シンセとのユニゾン&ハーモニーは意外と取りにくいし、フレーズの受け渡しも意外と難しい。シンタックスは基本がギターなので、ギター的アプローチが容易。エレギとのユニゾン&ハーモニーは取り易いし、フレーズの受け渡しもスムーズ。その点に着目して導入に至ったのだろう。

この盤を聴いて思うのだが、ホールズワースはエレギと絡めたシンタックスの使い方が上手い。今までのキーボード系シンセのキーボード的アプローチとは全く異なる響きのギター的響きのシンセの音。これが新しいエレギの音として鳴り響いている。明らかに「エレギの弾き手」の表現の幅が広がっている。

アルバム・タイトルは「Atavachron=アタヴァクロン」。Atavachron (アタヴァクロン) とは、米国のSFテレビドラマ「Star Trek (スター・トレック) 」の中に出てくるタイム・トラベル用の装置の名前だそう。確かに、ジャケのアートワークに描かれたホールズワース本人もスタートレックの衣装を着ている。しかし、その逸話とアルバムの内容との因果関係は、と問われると、「?」と返答するしかないんですけど(笑)。
 
 

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