ジャム・バンドなジョンスコ再び
ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降、略して「ジョンスコ」)という、ほぼレジェンド級のギタリストって、フュージョン・テイストのコンテンポラリーなジャズから入って、ジャズ・ファンク、そして、ワールド・ミュージック志向なニュー・ジャズをやったり。個性的な、良い意味で「捻れた変態エレギ」を駆使して、新しいジャズ・ギターのイメージを拡げてきた。
John Scofield『Uncle John's Band』。2022年8月、米ニューヨーク州ラインベックのクラブハウス・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Vicente Archer (b), Bill Stewart (ds)。円熟の「ジャム・バンド仕様」盤だった『Combo 66』(2018年4月録音)のパーソネルからピアノを抜いたトリオ編成。
デビュー当時から、メンストリーム・ジャズ、ジャズ・ファンク、ジャム・バンド、この3つの演奏トレンドを行ったり来たりして、数々の名作を送り出してきたが、今回の新盤の基本コンセプトは「ジャム・バンド」。収録された演奏曲を見ると、いやはかバラエティーに富んでいることおびただしい(笑)。こんな曲がジャズになるんや、と感心する選曲ばかりが並ぶ。これ、ほんとに凄い。全ての収録曲が見事に「コンテンポラリー・ジャズ」化されている。
1970年台のロック曲から「Mr. Tambourine Man」(Bob Dylan) から、ニール・ヤングの「Old Man」(Neil Young)、「Uncle John's Band」(Grateful Dead) 。ミュージカル曲は「Somewhere」(From West Side Story, Leonard Bernstein)。ジャズのスタンダード曲からミュージシャンズ・チューンについては「Budo」(Miles Davis)、「Stairway To The Stars」や「Ray's Idea」。そして、スウィング、ファンク、フォークなど様々な要素を取り入れたジョンスコのオリジナル曲。
トリオとしての演奏レベルが非常に高く、かつ流麗。今回はピアノレスだが、その効果が如実に現れている。リズム&ビートがシンプルになった分、ジョンスコの「捻れ」エレギの個性が浮かび上がる。そんなジョンスコの「捻れ」エレギが、印象的な即興フレーズを流麗に力強く弾き進めていく。
バックのリズム隊も秀逸。ジョンスコの「捻れ」エレギの個性が浮かび上がる様な、硬軟自在、変幻自在なリズム&ビートは聴き応え十分。ジョンスコとの相性も良く、フロントのジョンスコのエレギを引き立て、鼓舞する。このリズム隊があって、ジョンスコは流れるような力感溢れる即興フレーズを気持ちよく弾き進めることが出来るのだろう。
今回はCDにすると2枚組のボリューミーな意欲作。次から次へと演奏が進み、プレイバックして捨て曲がなかったのだろう。確かに全14曲、緩んだところ、マンネリなところは全く無い。ジャズ者の方々のみならず、ジャム・バンドのファンの方々にも訴求する優れたアルバム。
しかし、こういう内容のアルバムがECMレーベルから出るとはなあ。総帥プロデューサーのマンフレート・アイヒャーの許容範囲も広くなったもんだ、と感慨に耽る秋の夕暮れ、である。
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