小沼ようすけ『Jam Ka』再聴
「オーガニック・ジャズ」という用語を目にすることが多くなってきた様な気がする今日この頃。「オーガニック」と言えば、すなわち有機栽培や添加物無しの食品のことを指すものと思ってきたが、最近、音楽の世界で「オーガニック・ジャズ」なんて感じで使われ出している。
どうも、音楽の世界における「オーガニック」とは、「コンピューター・プログラミングではなく人力の演奏の重視」、「アコースティック楽器をメインに使うこと」、「デジタルな音加工を極力避けること」。つまり、オーガニック・ジャズとは、生楽器がメインで、人力の演奏で、音の加工や多重録音などを排除したジャズを指すのだろう。
小沼ようすけ『Jam Ka(ジャム・カ)』(写真左)。2010年の作品。ちなみにパーソネルは、小沼ようすけ (el-g、ac-g), Reggie Washington (el-b、ac-b), Milan Milanovic (p, Rhodes, Wurlitzer), Olivier Juste (Ka)、Arnaud Dolmen (Ka)、Stephanie Mckay, Joe Powers (hca)。
演奏全体の雰囲気はスムース・ジャズに近い。分かりやすく、聴いていて心地の良いアレンジ。人力の演奏オンリー、生楽器がメイン、音の加工は一切無しのシンプルな演奏。こういうジャズ演奏のイメージを「オーガニック・ジャズ」というのだろう。つまりは「オーガニック・スムース・ジャズ」。
とにかく聴いていて心地良い。リズム&ビートが耳慣れない、それでいて魅惑的な、ワールド・ミュージック系ジャズが好きなじジャズ者にはたまらない響き。それは耳慣れない打楽器のリズム&ビートが醸し出す響き。
カリブ海の島・グアドループの伝統的な太鼓、カ(ka)から生み出されるグォッカのリズム&ビートが耳に新しい。ワールド・ミュージック系のスムース・ジャズといった雰囲気がぷんぷんする。カリビアンなフレーズ、音の響きが心地よく、このアルバムの演奏から想起する風景は「海と海岸」。それも、その「海」はカリブ海。
カルテット編成にカリブの民族楽器「カ(ka)」が加わって、常夏の海に面したカントリーで流れているにピッタリな、カリビアンな雰囲気。そこに、小沼のリラックス感満載な、オーガニックなギターの音が入ってきて、これがまた、クールでスマートなグルーヴを醸し出して、心地よいことこの上ない。
「海と海岸=カリブ海」を想起するカリビアンなスムース・ジャズ。ハーモニカの奏でるフレーズがこれまた「ワールド・ミュージック」風の音世界を増幅する。日本人がメインのワールド・ミュージック系の「オーガニック・スムース・ジャズ」。録音も良く、アルバムの完成度は高い。現代の「和スムース・ジャズ」の佳作。
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