レジェンド・アルパートの新盤。
1970年代は「クロスオーバーからフュージョン」の時代。この「クロスオーバーからフュージョン」に台頭を現したジャズマンも多くいた。そして、21世紀に入って、そんな1970年代に台頭を現し、21世紀に入っても第一線で活躍を続けている「猛者」もいる。もう若くても70歳代だとは思うのだが、最近のジャズマンは息が長い。
例えば、ハーブ・アルパートと言えば、ポップス系ジャズのトランペッター&コンポーザー。また、A&Mレコードの創始者の一人。なお、A&Mの「A」はアルパート(Alpert)を指す。ちなみに、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』のテーマソングである「ビター・スウィート・サンバ」は、ハーブ・アルパートの作。そんなハーブ・アルパートは、現在88歳。米寿である。
Herb Alpert『Wish Upon A Star』(写真左)。2023年9月のリリース。ハーブ・アルパートの通算49作目となる新録音アルバム。2011年以降、第一線に復帰し、「生けるレジェンド」として活躍するアルバートの元気溌剌としたトランペットが聴ける好盤である。アルパート、まだまだ現役である。
このアルバムでは、ジェリー・リードの「East Bound And Down」、エルヴィス・プレスリーの「(Marie's The Name) His Latest Flame」、ビートルズの「And I Love Her」、キャット・スティーヴンスの「Father And Son」、カーペンターズの「We've Only Just Begun」、ジャズ・スタンダード曲「When You Wish Upon A Star」など、我々が長年なれ親しんできた名曲のカヴァーがメイン。
かといって、イージーリスニング志向と問われれば、答えは「No」で、アレンジが優秀がゆえ、聴き味の良い、上質のフュージョン・ジャズに仕上がっているのは立派。
この盤でのアルパートは、今年88歳とは思えない、溌剌としたトランペットを聴かせてくれる。往年の正確無比でハイテクニック、ハイノートも何その、バリバリ流麗で歌心溢れるブロウは、歳をとることによる影響はあるにせよ、概ね健在である。これには驚くばかり。
アルパートのトランペットは、透明感のある、明るくて、ちょっと哀愁感漂う音色。そして、ブリリアントで心地良い吹きっぷりが身上なのだが、この盤でもそんなアルパートの個性はしっかり感じることが出来る。1970年代のフュージョン・ジャズのアルパートを聴き親しんだ僕からすると懐かしい限り。
演奏の基本がしっかりしているのとアレンジが秀逸で、名曲のカヴァーがメインとはいえ、易きに流れていないところにアルパートの一流ジャズマンとしての矜持を感じる。ながら聴きに最適の「フュージョン・トランペット」の佳作です。とにかく、アルバートのトランペットの響きが懐かしくて良い。
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