ガーランドとホーキンスの佳作 『Blue World』
伴奏上手のレッド・ガーランドのピアノ。フロント管の担い手が代わったら代わったで、サポートのやり方を微妙に変えて、その時そのロキのフロント管に合ったバッキングをする。しかも、ガーランドの個性を損なわず、にである。いかにガーランドがプロフェッショナルで、優れたテクニックを持っているかが良く判る。
Coleman Hawkins & The Red Garland Trio『Swingville, Vol.1・Blue World』(写真左)。1959年8月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Coleman Hawkins (ts), Red Garland (p), Doug Watkins (b), Charles "Specs" Wright (ds)。プレスティッジ・レーベルの傍系レーベル「Swingville」からのリリース。
Swingvilleレーベルの特徴は、スイング・ジャズの名手達がハードバップのスタイルで演奏すること。スイング・ジャズの演奏形態、演奏マナーをベースにしつつ、ハードバップに準じて、「聴かせる」演奏のアレンジをしっかり施し、ロングレンジのアドリブ・ソロで、演奏者の個性をしっかりと表現する。これが意外と聴き応えがある。
このコールマン・ホーキンス(写真右)のテナー・サックスがフロント1管のワン・ホーン・カルテット編成。コールマン・ホーキンスだけがスイング時代から第一線で活躍してきたジャズマンで、バックを司るガーランド・トリオはハードバップ時代の手練のメンバー。どんな内容に仕上がっているだろう、と興味津々。
ホーキンスはオールド・スタイルのスイング風のテナー・サックスなんだが、ガーランド・トリオをバックにして、演奏スタイルはハードバップ。テクニックに優れ、ダンディズム溢れる、骨太で悠然とした、低音が魅力のホーキンスのテナーは演奏スタイルやトレンドを選ばない。
しかし、ホーキンスのテナー・サックスよりも優れたパフォーマンスを発揮しているのは、ガーランドのピアノ。ガーランドの伴奏は機微に溢れ、小粋に、絶妙にホーキンスのテナーを支え、鼓舞する。しかも、ガーランドの個性はちゃんと前面に押し出されていて、ホーキンスのテナーより、ガーランドのピアノの方が目立っている。
ガーランドのピアノが目立つということは、ガーランドのハードバップ志向がしっかり出ているということ。そんなハードバップ志向バリバリのリズム・セクションをバックに、ホーキンスがオールド・スタイルのテナーを吹きまくる。
違和感は全くない、どころか、ホーキンスのテナーはハードバップ志向でも全然いける。逆に、ホーキンスのテナーを改めて見直した。スイングとハードバップの邂逅というよりは、ホーキンスのテナーの柔軟性とテクニックの優秀性。それをしっかりと理解し支える、ガーランドの伴奏テクニックの優秀性。その2つの優秀性の「化学反応」を聴くことが出来る、ガーランドとホーキンスの佳作である。
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