コロナ禍明けのポッターの快作
最近、活躍している若手、もしくは中堅ジャズマンについて、聴いたことの無いジャズマンのリーダー作については、PCにストックしている。どこかでまとめて聴こう、と思っているのだが、これがまた、なかなかその機会が無い。ストックはどんどん溜まるばかりで、この秋から、計画的に聴き進めることを決意した。
クリス・ポッター(Chris Potter)。米国シカゴ出身、1971年1月1日生まれ。今年で52歳になる、ジャズ・サックス奏者の中堅。1993年に初リーダー作『Presenting Chris Potter』 (Criss Cross) をリリースして以降、ほぼ1.5年に一枚のペースで堅実にリーダー作をリリースしている。
逆にサイドマンとしての実績は多彩。僕は「クリス・ポッター」の名前を、スティーリー・ダンのアルバム『トゥー・アゲインスト・ネイチャー』のレコーディング・メンバーとして知った。クリス・ポッターは、純ジャズのみならず、フュージョン、ファンク的なアプローチにも長けている。
Chris Potter『Sunrise Reprise』(写真左)。2020年9月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Chris Potter (sax, cl, fl, sampler/key), James Francies (p, key), Eric Harland (ds)。クリス・ポッターにとって、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる隔離期間後にレコーディングした最初のアルバムになる。
クリス・ポッターのリーダー作の「まとめ聴き」の一発目にこの盤を選んだのに理由は無い。サックス奏者がトリオでやる時、ピアノレスのトリオというのは良くあるケースなのだが、この盤は、ベースレスの「サックス、キーボード、ドラム」のトリオ編成。この編成のサックス奏者のリーダー作は僕は見たことが無い。それがこの盤を選んだ理由。恐らく、このユニークな編成の演奏を聴けば、ポッターの個性が判るかな、と思った。
シンセのコズミック的なサウンドをバックに、ポッターの印象的な力感溢れるブリリアントなサックスが飛翔する。抒情的な演奏がベースだが、丁々発止としたインタープレイが心地よいテンションを提供する。アップテンポで複雑難解なフレーズも、さもシンプルで判りやすいフレーズの如く、何事もないように吹き切るポッター。凄みすら感じる。
キーボードのジェームズ・フランシーズとドラムのエリック・ハーランドがまた良い。キーボードとドラムの濃密で多彩なバックングが全編に渡って素晴らしい。ポッターとインタープレイをやり合うことはあっても、決してポッターの前には立たない。常にポッターのサックスを引き立てるバッキング。素晴らしいテクニックと感覚である。
全編に渡って、現代のメインストリームな純ジャズ志向のコンテンポラリーなエレ・ジャズが悠然と展開される。抒情的な演奏が悠然と展開されるのだが、キーボードとドラムのバッキングが尖っていて、適度なテンションのもと、ポッターのサックスやフルートも結構、尖っていて、スリリングとは言えないまでも、濃密濃厚な切れ味の良いパフォーマンスが心地よい。
良い内容の盤をクリス・ポッターのアルバム聴きの第一弾に選んだと思う。コロナ禍明けのクリス・ポッターの快作である。
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