ガーランドとロックジョウの佳作 『The Blue Room』
レッド・ガーランド(Red Garland)の「ブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノは、実は伴奏上手でもある。
そのシンプルなピアノと伴奏上手に目をつけて、マイルス御大が、1950年代黄金のクインテットを結成する際、レッド・ガーランドをピアノ担当に招聘した訳で、確かに、マイルスのバックで伴奏をするガーランドのピアノを聴いていると、決して、マイルスのトランペットの邪魔をせず、絶妙な間合いで伴奏のタッチを入れていく。
あくまで、マイルスのトランペットが引き立つように引き立つように、伴奏の「合いの手」を入れていく。これが実に絶妙なのだ。この伴奏上手な面を、他の管担当のフロント・メンバーとカルテットやクインテット編成を組んで、優秀作を多数リリースしている。
Red Garland Trio & Eddie "Lockjaw" Davis『Moodsville Volume 1・The Blue Room』(写真左)。1959年12月11日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Eddie "Lockjaw" Davis (ts), Sam Jones (bs), Art Taylor (ds)。ベースがポール・チェンバースからサム・ジョーンズに代わったガーランド・トリオをバックに、フロント1管にロックジョウのテナーが据わるという、ワンホーン・カルテットな編成。
プレスティッジ・レーベルが、求愛中のカップルにムード音楽を提供することを目的としたレーベル「ムーズヴィル」からのリリース。しかし、中身は意外と硬派なハードバップ。特に、ロックジョウのテナーがダンディズム溢れる骨太なテナーなので、その印象を更に強くしている。
切れ味の良いガーランドのシンプル・ピアノは、ロックジョウのテナーと「効果的な対比」を醸して出していて、なかなかの内容のハードバップが成立している。純粋に「メインストリーム志向の純ジャズ」盤として、十分鑑賞に耐える優れた内容となっている。ロックジョウのテナーが力感溢れるもので、ムーディーというにはちょっとメリハリが効き過ぎている。しかし、純ジャズとしては「そこが良い」。
アルバム・タイトル「The Blue Room」の通り、盤全体に「ブルージーな雰囲気」が蔓延していて、これがまた実に良い雰囲気。特にロックジョウのテナーがとりわけ「ブルージー」で、ロックジョウのベスト・プレイの1つなのでは、と密かに思っている。
ガーランド・トリオはコルトレーンのテナーと組んでのアルバムを幾枚か出しているが、どうしてもコルトレーンが暴走するので、フロント管とガーランド・トリオとのバランスと相性が「イマイチ」だと感じているのだが、このロックジョウと組んでのカルテット盤については、バランスと相性が抜群で、とにかく聴いていて楽しいし、難しいこと無しにリラックスして聴ける。隠れ名盤の1枚としても良い位の佳作である。
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