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2023年9月 9日 (土曜日)

ジョンスコのエレ・ジャズの発展

心地良く捻れた、プログレッシヴなジャズ・ギタリスト、ジョン・スコフィールド(以降、ジョンスコと略)。1982年にマイルス・デイヴィスのバンドに参加。3年の在籍の間に『Star People』『Decoy』『You're Under Arrest』という、1980年代マイルスの傑作盤のパーソネルに名を連ねた。

このマイルス・バンドへの参加が切っ掛けで、ジョンスコのエレ・ジャズは「ファンク色」が強くなった。軽めの切れ味の良いファンクネス。エレギのエフェクトのかけ方も工夫が凝らされていて、この「ファンク色」を効果的に醸し出すエフェクトが大活躍。このエフェクトと従来からの「心地良く捻れたエレギ」のフレーズとが相まって、ジョンスコならでは、のファンク色が成立している。

John Scofield『Blue Matter』(写真左)。1986年9月の録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Mitchel Forman (key), Hiram Bullock (el-g), Gary Grainger (b), Dennis Chambers (ds), Don Alias (perc)。

マイルス・バンドの経験から、ジャズ・ファンクの肝は「ドラムとベースにある」と確信したのか、この盤では、当時、若手ドラマーの最精鋭、デニス・チェンバース(略してデニチェン)を、チョッパー・ベースの雄、ベースのゲイリー・グレンジャーを招聘している。
 

John-scofieldblue-matter

 
まず、このデニチェンの「ファンク」なドラミングがバッシバッシ効いている。ジョンスコの心地良く捻れた、プログレッシヴなエレギとタイマンが張れるほど、デニチェンのオフビートの重量級ドラミングが効きに効いて、この『Blue Matter』は、ジョンスコのエレ・ジャズの中でも、一番「ファンク色」が濃厚なアルバムに仕上がっている。

加えて、ゲイリー・グレンジャーのチョッパー・ベースが大暴れする曲では、デニチェンのドラムで色濃くなった「ファンク色」が、さらに濃厚に、1980年代当時の「デジタルチックなエレ・ファンク」の音志向が強烈に響いてくる。

このデニチェンのドラムとグレンジャーのエレベが、この盤での「ジョンスコのエレ・ジャズ」の音世界を創出している。が、このリズム隊が余りに強烈過ぎて、ジョンスコのエレ・ジャズの肝である「ファンク色」が、どこかよそ行き、他人行儀に聴こえてしまうのが、この盤の「玉に瑕」なところ。

この『Blue Matter』、ジョンスコのエレ・ジャズの中でも、一番「ファンク色」が濃厚なアルバムに仕上がっているが、ジョンスコのエレ・ジャズの最終形では無い。発展途上、最高に「ファンク色」が濃くなったところで、ジョンスコは、ジョンスコ志向のエレジャズを確立すべく、調整に入る。その成果は次作『Loud Jazz』にある、と僕は睨んでいる。
 
 

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コメント

丁度大学の軽音楽部でジョンスコを知って、簡単な(ないけど)曲をトリオバンドでやってました。楽しかったな。
良いアルバムです。録音時のノイズ?があり、新品に交換してもらったけど、同じ場所に同じノイズがありました。(苦笑)

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