ジャズロック志向にロックオン
ハードバップ時代に、彗星の如く現れたトランペットの若き天才、リー・モーガン。1956年、初リーダー作『Indeed!』でデビューしたのが、なんと弱冠18歳。そしてこの初リーダー作が素晴らしい出来。以来、人気トランペッターとして第一線を走ってきたモーガン。1960年代の「ジャズの多様化」の時代は、22歳〜31歳の若手だが、彼のプレイは既に成熟し完成されていた。
Lee Morgan『The Rumproller』(写真左)。1965年4月の録音。ブルーノートの4199番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Joe Henderson (ts), Ronnie Mathews (p), Victor Sproles (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのモーガンのトランペットとジョーヘンのウネウネ捻れモードのテナー・サックスがフロント2管のクインテット編成。
編成はオーソドックス。奇をてらったところが無いのはモーガンのリーダー作の良いところ。録音年は1965年。ジャズは多様化の時代のピーク。前作『Search for the New Land』で、モーガン流のモード・ジャズを確立した訳だが、今回の『The Rumproller』は、前々作『The Sidewinder』の内容に戻している。
冒頭のタイトル曲「The Rumproller」は、怒濤のジャズ・ロック。大ヒット曲「The Sidewinder」に比肩するファンキーでロックな出来。以降、モード有り、ラテン〜ボッサ有り、リリカルなミュートによるバラード有り、とバラエティーに富んだ内容に仕上がっている。この辺も大ヒット盤『The Sidewinder』を踏襲している。
この頃のモーガンは「ジャズ多様化の時代」の中で、どの方向に自らの音志向を持っていこうと、いろいろ迷っていた時代だったのではなかろうか。そして、この『The Rumproller』で、ジャズ・ロックをベースに定め、ジャズ・ロック志向の演奏の中で、モーダルなアドリブや、こってこてハードバップなフレーズなど、ジャズ・トランペットの演奏トレンドや演奏志向を展開する、そういう方向に舵を定めたのでは、と感じている。
話題としては「Desert Moonlight」、我々日本人にとってはお馴染みの童謡「月の沙漠」のジャズ化が2曲目にある。なかなかのアレンジで、日本の童謡を上手くジャズ化している。こういう器用さもモーガンの良き個性。次作『The Gigolo』以降、ジャズロックをベースとした演奏志向を追求〜深化していく。モーガンの鯔背なトランペットが映えに映える。
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