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2023年9月18日 (月曜日)

充実の『アフリカン・ワルツ』

リヴァーサイド・レーベルのキャノンボール・アダレイは、自らの個性を前面に出し、活き活きとしたパフォーマンスを発揮し、数々の傑作をものにしている。ひとえに、リヴァーサイドの総帥プロデューサーのオリン・キープニュースの賜物である、と僕は思っている。キャノンボールは本当に良いレーベルに巡り会えた。

Cannonball Adderley『African Waltz』(写真左)。1961年2, 5月の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ビッグバンドをバックにしたキャノンボール・アダレイの企画盤。

ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley, Joe Newman, Ernie Royal, Clark Terry, Nick Travis (tp), immy Cleveland, George Matthews, Arnett Sparrow, Melba Liston (tb), Bob Brookmeyer (valve-tb), aul Faulise (b-tb), Don Butterfield (tuba), George Dorsey (as, fl), Oliver Nelson (ts, fl), Jerome Richardson (ts, fl, piccolo), Arthur Clarke (bs), Wynton Kelly (p), Sam Jones (b), Charlie Persip, Louis Hayes (ds), Michael Olatunji (congas, bongos), Ray Barretto (congas),

要所要所に一流ジャズマンを配置した、内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。ビッグバンドをバックにしたキャノンボールと言えば、エマーシー時代の「ウケ狙いのイージーリスニング・ジャズ」を想起して、ちょっと眉をひそめるのだが、この盤を聴けば、それは杞憂であったことにホッとする。
 

Cannonball-adderleyafrican-waltz

 
アレンジが良い。アーニー・ウィルキンスのアレンジとのことだが、1960年代のジャズ黄金期の「録音の為のビッグバンド」といった音作りがとても良い。ウィントン・ケリーのピアノ、サム・ジョーンズのベース、チャーリー・パーシップとルイス・ヘイズのドラム、この1960年代ならではのリズム・セクションが、当時の最先端のハードバップらしいリズム&ビートを供給する。これが意外と洒脱なのだ。

ホーン隊は逆に、実に「俗っぽい」。どこから聴いても、下世話なスイングの雰囲気を引き継いだ、どこから聴いても、モダン・ジャズらしい、大衆受けするユニゾン&ハーモニー。新しさは無いが、ジャズ黄金期のブラスの響き、ブリリアントな音の輝きが「どジャズ」していて、とても良い。

そんなビッグバンドをバックに、キャノンボール・アダレイの初のシングルヒット曲「African Waltz」が展開される。これがまた実に良い。ただ、この「African Waltz」は、アドリブ・パートが無くて、ジャズの曲調を借りたビッグバンドをベースとしたイージーリスニング志向の演奏。それでも、曲自体が良くて、音的にもアフリカ色が散りばめられていて良い感じ。

他の曲も、スタンダード曲、若しくは、ミュージシャンズ・チューンがほとんどだが、演奏自体のレベルは良好。さすが、メンバーがメンバーだけに、それぞれのアドリブ・パートや要所要所のユニゾン&ハーモニーは聴き応え十分。

エマーシー時代とは一線を画した、リヴァーサイドでの内容のあるスキルフルなビッグバンドをバックにした、充実の企画盤。本当に、キャノンボールって、リヴァーサイドに移籍して良かったなあ、とこの盤を聴く度に、つくづく思うのだ。
 
 

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