The 3 Soundsのお蔵入り優秀盤
スリー・サウンズ(The 3 Sounds)は、ブルーノート・レーベル唯一のお抱えピアノ・トリオ。メンバーもブルーノートが選んで、ブルーノートがデビューさせている。スリー・サウンズのアルバムはその活動期間中のリリースとして30枚を超えるが、途中、ヴァーヴやマーキュリー・レコードやその傍系のライムライトからもアルバムを7〜8枚ほどリリースしたが、ブルーノートからのリリースが主。
ただし、スリー・サウンズの音作りは、リーダーのピアノのジーン・ハリスに委ねられていて、軽妙でハイ・テックニックなトリオ演奏をベースに、聴いて楽しいシンプルで判り易い音作り、ドライブ感溢れる、硬派で端正でファンキーなサウンドは、このジーン・ハリスによって育まれたもの。
The 3 Sounds『Out Of This World』(写真左)。1962年2月4日、3月7ー8日の録音。ブルーノートの4197番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ちなみにこの盤はブルーノートお得意の「何故かお蔵入り」盤。録音当時はリリース見送り、4年後の1966年になってようやく陽の目を見ている。
1962年の『Hey There』の後、何故かお蔵入りが続いた音源の中のひとつで、契約上の何かがあったかで、4年間、倉庫に眠っていた音源。聴けば判るが、聴いて楽しい、シンプルで判り易い、ドライブ感溢れ、硬派で端正でファンキーなスリー・サウンドの個性がこの盤に充満している。この音源の前後のセッションの演奏内容と比べて遜色が無いどころか、切れ味とアーティステックな雰囲気という点では、この周りのスリー・サウンドの中で、一二を争うほどの優れた内容である。
カクテル・ピアノ、ラウンジ・ピアノの類の演奏だが、決して、イージーリスニング志向では無い。かなり硬派でダイナミズム溢れるアーバンなアレンジが施されていて、決して「ながら聴き」に向いたトリオ演奏ではない。基本はファンキー・ジャズだが、アレンジがストイックでハイテクニック前提でアーティステック。意外と尖った内容に思わず耳を奪われる。
何があったか知らぬが、この盤の音源は「何故かお蔵入り」盤として扱われる様な無い様ではない。スリー・サウンズの成熟した完成形の様な音作りと展開が素晴らしい。アレンジが優秀で、ジャズ・スタンダード曲も新しい響きを宿していて新鮮に感じる。シンプキンスとダウディのリズム隊も堅実な素晴らしいリズム&ビートを供給していて立派。スリー・サウンズの優秀盤として、もう少し再評価されても良い盤かと思う。
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