全曲「春」にちなんだ企画盤 『Blue Spring』
1958年7月録音の『Portrait of Cannonball』で、やっと、メインストリームな純ジャズをメインとする「リヴァーサイド・レーベル」に移籍したキャノンボール。このリヴァーサイドで、当時のモダン・ジャズの最前線、小コンボでの演奏を実現した。さすが希有なインプロヴァイザー、キャノンボール・アダレイ、小コンボでのソロ・パフォーマンスは素晴らしい。
Kenny Dorham & Cannonball Adderley『Blue Spring』(写真)。1959年1月20日 (#5-6) , 2月18日 (#1-4) の2セッションからの選曲。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Cannonball Adderley (as), David Amram (French horn), Cecil Payne (bs), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds, tracks 1-4), Philly Joe Jones (ds, tracks 5-6)。
基本の編成は、ドーハムのトランペットとキャンボールのアルト・サックスのフロント2管、ウォルトンのピアノ、チェンバースのベース、そして、コブとフィリージョーの2人が別々に担当するドラムのクインテット編成。アレンジの彩りにフレンチ・ホルンやバリトン・サックスが入っている。
この盤、タイトルからも判る様に、全曲「春」にちなんだ曲ばかりを集めた企画盤。こういうコンセプトがハッキリしたセッションにドーハムは強い。迷いがなくなるのだろう。
かつ、この盤はミドル・テンポの曲がメイン。ミドル・テンポの曲にドーハムは強い。速いテンポの曲では、時々フレーズがふらつく、拠れるの悪い癖が出るが、ミッド・テンポでは全くそんなことは無く、堂々と柔らかくてブリリアントなフレーズを吹き上げていく。
ただ、ドーハムのトランペットは、モノトーンっぽくて、すんだようなフレーズが主なので、どこかメリハリと抑揚に欠ける嫌いがあるのだが、この盤ではそんな「気になる」ところを、キャノンボールの明るくメリハリの効いた切れ味の良いアルト・サックスをフロント管のパートナーに充てることで、良い意味でクリアしている。
確かに、ドーハムのトランペットとキャノンボールのアルト・サックスとのコントラストが実に良い雰囲気を出している。リヴァーサイドの総帥プロデューサーのオリン・キープニュースの手腕が映えに映えた内容になっているのだから見事という他ない。
良い雰囲気のハードバップ盤です。バリバリと丁々発止としたバップなパフォーマンスは無いんですが、アレンジも良好、コンセプトもしっかりしていて、聴かせるハードバップな内容に仕上がっています。歌心溢れるドーハムとキャノンボール。良い内容の良いハードバップ盤だと思います。
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