モード充実のメッセンジャーズ
一流ジャズマンの「登竜門的ジャズ・バンド」、一流ジャズマンに向けて鍛錬する「ジャズ道場」。そんな位置付けのバンド、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ。1954年に結成、ホレス・シルヴァーから名前を引き継いで、アート・ブレイキーの単独リーダーで、1990年10月にブレイキーが亡くなるまで、36年の長きに渡って、モダン・ジャズの第一線で活躍した。
リーダーのブレイキーは若手の将来有望なジャズマンのスカウトに長けていて、このジャズ・メッセンジャーズ、歴代のバンド・メンバーの中で、一流になっていったジャズマンは数知れず。ウェイン・ショーター、リー・モーガン、ウィントン・マルサリス、フレディ・ハバード、テレンス・ブランチャード、ゲイリー・バーツ、ボビー・ワトソン、ビル・ピアース、ボビー・ティモンズ、シダー・ウォルトン、異色なところで、キース・ジャレット(!)などなど....。
Art Blakey & The Jazz Messengers『Indestructible』(写真左)。1964年4月24日と5月15日の録音。ブルーノートの4193番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b)。モーガンのトランペットとフラーのトロンボーン、ショーターのテナーが3管フロントのセクステット編成。
ウェイン・ショーターが音楽監督の時代、この3管フロント+ウォルトンのピアノのブレイキーのリズム隊の編成が、歴代のジャズ・メッセンジャーズの中で、一番、内容充実の時代では無かったかと思う。ジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズを完全に自分達のものとし、その音志向に則った作曲もアレンジも素晴らしい。
当然、演奏もハイレベルで、特にこの3管フロントのユニゾン&ハーモニー、そして、アドリブ展開、リズム隊の繰り出す変幻自在でモーダルなリズム&ビート、バンド全体で繰り広げられるテンション高いインタープレイ。とにかく緩んだところが全く無い、淀んだところが全く無い、切れ味抜群、疾走感溢れるジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズが見事。もはや、この演奏は「アート」ですらある。
こんな充実した内容の音源だが、リリースは1966年。録音から2年の「お蔵入り」。ブルーノートお得意の「理由の判らないお蔵入り」音源なのだが日の目をみて良かった。当時としては、手垢の付いたジャズ・メッセンジャーズ流のモード・ジャズで、ちょっとマンネリと捉えられたのかもしれない。しかし、今の耳で振り返ると、とても内容充実のオリジナリティー溢れるモード・ジャズで、訴求力抜群。モード・ジャズの優秀盤の1枚です。
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