ロイド4の温故知新 『A Night In Copenhagen』の追記
1984年、EMI傘下のジャズ・レーベルとして復活した「ブルーノート」。復活の手始めに「85100 シリーズ」として、 Stanley Jordan『Magic Touch』を1985年にリリースして以降、1987年まで、当時のメインストリーム志向の純ジャズを立て続け40枚弱、リリースしている。
Charles Lloyd Qartet『A Night In Copenhagen』(写真左)。サブタイトルが「Live At The Copenhagen Jazz Festival, 1983」。ブルーノートのBT 85104番。1983年7月11日、コペンハーゲン・ジャズフェスでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Lloyd (ts, fl, Chinese oboe), Michel Petrucciani (p), Palle Danielsson (b), Woody Theus (ds, perc), Bobby McFerrin (vo,on #4 only)。
この盤は、2020年10月25日に「ロイド・カルテットの温故知新」(ここをクリック)と題して、記事をアップしている。が、今回、再びこのライヴ盤を聴き直して、ちょっと追記したくなってので、以下に追記部分をまとめてみました。
機を見て敏なるテナー・サックス奏者、チャールズ・ロイドが1管フロント。ミシェル・ペトルチアーニがピアノ、スウェーデン出身のベーシスト、パレ・ダニエルソン、そして、米国出身のウッディ・ゼウスがドラマー、のリズム・セクション。ロイドのワンホーン・カルテットになる。
コルトレーンの「軽いコピー」という、ちょっと胡散臭さ漂うテナーのロイドは、1970年代、ジャズシーンから姿を消していた。何処へ行った、という状態だったが、何と欧州にいた。というか、1981年、欧州にて、ペトルチアーニのツアーに参加する形で復活していた。その流れの中で、このライヴ盤はロイドがリーダーのカルテットとして、コペンハーゲン・ジャズフェスの出演した時のライヴ録音である。
ロイドのテナー・サックスは、相変わらず「コルトレーンぽい」のだが、クロスオーバー〜フュージョン時代を通過した、ポップで流麗でかなり判り易いコルトレーンになっている。1960年代のコルトレーンをベースに、1980年代のモーダルで軽快な、少しスピリチュアルなテナー・サックスに再構築されている。
ここまで、以前のコルトレーンの雰囲気とかけ離れたものになったのだから、この時点でのロイドの吹奏は「ロイド・オリジナル」と評価して良いかと思う。軽いが情感溢れるモーダルなフレーズは聴いていて心地良い。
そういう意味では、ロイドはペトルチアーニとの出会いによって復活し、確固たる個性を獲得したことになる。そんなロイドの記録がこのライヴ盤。ペトルチアーニ、ダニエルソン、ゼウスのリズム・セクションのパフォーマンスも実に良い感じなんだが、このライヴ盤では、自らの個性を確立したロイドのテナー・サックスを第一に愛でるべき盤だろう。
演奏される曲は、コルトレーン・ライクなスピリチュアルな吹奏はちょっと横に置いて、硬派で真摯なモードあり、ボサノバ調な軽快な演奏あり、ボーカルものあり、意外と「とっちらかって」いるのだが、以前より聴き手に迎合する傾向のある、機を見て敏なるロイドについては、まあこれも「アリ」だろう。
1981年の復活で自らの個性を獲得し、やっと「胡散臭さ」が抜けたロイドのテナー・サックス。このライヴ盤でのロイドの吹奏はオリジナリティー満点。復活して良かった、と心から思える素敵な内容のライヴ盤です。
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