ハバードにはジャズ・ロック
前作『High Blues Pressure』では、ジャズロックとモード・ジャズが混在、アルバム全体の印象がちょっと散漫になって、本当にジャズロック路線で攻めていって良いのか、世間の評価をどうなるのか、まだまだハバードには迷いがあったように感じた。しかし、僕の印象としては「ハバードのトランペットには、ジャズロックが良く似合う」。
Freddie Hubbard『A Soul Experiment』(写真左)。1968年11月11日(#3, 7, 9),13日(#1-2, 10),1969年1月21日(#4-6, 8)の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Carlos Garnett (ts, #3-9), Kenny Barron (p), Gary Illingworth (org), Billy Butler (g, #3, 7, 9), Eric Gale (g, # 1–2, 4–6, 8, 10), Jerry Jemmott (b), Grady Tate (ds, #3, 7, 9), Bernard Purdie (ds, #1, 2, 5)。
タイトルを訳すと「ソウルの実験」。おお、遂にハバードも吹っ切れたか、と期待する。そして、聴いてみて、ジャズファンク、ソウル・ジャズで統一されたジャズロック志向のアルバムに仕上がっている。加えて、すべての演奏がエレギ&エレベの、完全「エレジャズ」な布陣の演奏になっている。思い切っているなあと感じる。
タイトルは「ソウルの実験」だが、演奏全体の雰囲気は「お試し」。ハバードが試しにソウル・ジャズをやってみた、それも、エレ・ジャズな編成で、かつ、ジャズロック志向で、といったところか。「お試し」とは言え、このアルバムについては、きっちりジャズロック志向で揃えているので、中途半端な感じが無い。実に潔い。
冒頭「Clap Your Hands」は、エキサイトなソウル・ジャズ。エレ楽器メインのジャズロックな8ビートに乗って吹くハバードのトランペットが心地良い。指がよく動き、テクニックが優れているので、8ビートに流麗に乗った、滑らかなアドリブ展開は違和感が全く無い。4曲目「Lonely Soul」は、ハードボイルドなハバードの哀愁感溢れるバラード・プレイが聴けて、これまた良好。
確かにタイトルは「ソウルの実験」なので、本格的にジャズロック志向に舵を切ったのかどうかは、次のリーダー作以降を聴かないと判らないが、このオール・ジャズ・ロックな盤を聴く限り、「ハバードのトランペットには、ジャズロックが良く似合う」という感覚は「確定」だろう。
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