硬派でバップなキャノンボール
キャノンボール・アダレイ。1959年以降、ファンキー&ソウル・ジャズでヒット作をリリースして人気ジャズマンになった訳だが、人気者になればなるほど、我が国では「ファンクの商人」と揶揄され、硬派なジャズ者の方々から煙たがられた。しかし、キャノンボールのジャズは確かなもの。デビュー当時のハードバップをバリバリ吹きまくるキャノンボールをもっと評価しても良いと僕は思っている。
彼が人気者になった、ファンキー&ソウル・ジャズだって、そのベースには、ハードバップ時代のバリバリ硬派にアルト・サックスを吹きまくる実績があったからこそ。どうも、以前は、ジャズというもの、コマーシャルに走るのは「恥」という傾向が我が国のジャズ・シーンにはあったように思う。僕には全く理解出来なかったけど。
Cannonball Adderley『Cannonball's Sharpshooters』(写真左)。1958年3月4日と6日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Junior Mance (p), Sam Jones (b), Jimmy Cobb (ds)。アルト・サックスのキャノンボール・アダレイがチーダーのクインテット編成。小コンボ編成のハードバップな演奏に変わっての3作目。
この盤は、前年の『ソフィスティケイテッド・スウィング』や、それに続く『キャノンボール・アンルート』の流れの中にある盤で、硬派にハードバップにアルト・サックスを吹きまくるキャノンボールを確認することが出来る。スタンダード曲を伸び伸び、切れ味良く吹き上げるキャノンボールは、自由奔放でブリリアント。このストイックに硬派にアルト・サックスを吹きまくるキャノンボールは聴き応え十分。
フロントのパートナー、弟ナットのコルネットも良い味を出している。破綻無く切れ味良くブリリアントなトランペットを随所で吹きまくる。マンスのピアノは小粋だし、ジョーンズのベースは堅実。コブのドラミングは、この盤のハードバップな要素をしっかり把握し、しっかりとハードバップなリズム&ビートを供給する。
『ソフィスティケイテッド・スウィング』『キャノンボール・アンルート』に続く、小コンボでハードバップな演奏なんだが、スタンダード曲とミュージシャンズ・チューンズを混在して選曲したこの盤の演奏は「小粋」そのもの。録音年は1958年、ハードバップが成熟した頃の録音。良い内容で聴き応え満点。いかにも「やっつけ」なジャケだけが減点対象。もうちょっとましなジャケにならんかったのかいな、とこの盤を聴く度に思う。
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