ブルース基調が素敵な盤 『The P.C. Blues』
ブログでは暫く御無沙汰だったが、レッド・ガーランドは、僕のお気に入りのピアニストの1人である。右手の転がる様に流麗なシングル・トーン、合いの手の様に絶妙のタイミングで入ってくる左手のブロック・コード。聴けば直ぐに判るほどの個性。「金太郎飴」とか、揶揄されることもあるが、どうして、こんなに個性的なジャズ・ピアノ、ガーランドの他にはいないのだから、唯一無二のスタイリストとして評価するべきだろう。
Red Garland『The P.C. Blues』(写真左)。1956年5月11日、1957年3月22日と8月9日の3つのセッションの寄せ集め。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds, track 1), Art Taylor (ds, tracks 2-5) 。このアルバムは、録音から13年後の1970年になってようやくリリースされた、それまでのアルバムに収録されなかった「未収録音音源」を基にした編集盤。
プレスティッジ・レーベルお得意のセッション寄せ集め盤なんだが、これが意外と複雑怪奇。1曲目が1956年5月11日、Miles Davis『Workin' with the Miles Davis Quintet』に収録された演奏をそのまま再収録。2,4,5曲目が1957年8月9日、名盤『Groovy』セッションの未収録音源。3曲目が1957年3月22日の『Red Garland's Piano』セッションの未収録音源。
タイトル通り、ブルース基調の演奏を集めた編集盤。未収録音源の寄せ集めっぽいイメージだが、収録された未発表音源の内容は良い。寄せ集め盤とは言え「捨て曲」は無し。いかに『Groovy』セッションと『Red Garland's Piano』セッションが優れていたかが良く判る。ガーランドのピアノは絶好調。しかも、お得意の「ブルース基調」の演奏なので、右手のシングル・トーン、左手のブロック・コードは映えに映える。
そして、そんなガーランドのバックに就くリズム隊、ポール・チェンバースのベースとアート・テイラーのドラムが、良く聴けば、ハードバップの演奏の中でも、先進的なリズム&ビートを捻り出していて、ガーランドのピアノを引き立て、ピアノ・トリオの演奏に「粋」でアーティスティックな響きを醸し出している。ガーランドのピアノ・トリオがマンネリしないのは、この2人のリズム隊が故である。
プレスティッジ・レーベルお得意の「セッション寄せ集め盤」で、しかも、直近の録音から10年以上経ってのリリースなんだが、内容はとても良い。ブルース基調な演奏が得意なガーランドのピアノの特質がしっかりと押さえられている。きっと、プレしティッジのプロデューサー、ボブ ワインストックはガーランドのピアノが好きだったんやないかなあ。この盤の選曲、ガーランドの個性と特質をしっかり理解していないと、こんなに上手い選曲にはならないだろう。良いピアノ・トリオ盤です。
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