小コンボのキャノンボールは良い
初リーダー作より、レーベルのエマーシーから、ムーディーなモダン・ジャズを余儀なくされたキャノンボール。キャノンボールは意外と硬派にハードバップに吹きまくるのだが、如何せん、ウィズ・ストリングスあり、ビッグバンド・ジャズなアレンジのゴージャスな編成ありで、全体的な印象としては「イージーリスニング・ジャズ」志向。
やっと、エマーシー移籍後の4作目のリーダー作『Sophisticated Swing』で、クインテット編成の小コンボでの、硬派でハードバップな演奏を実現した。メインストリーム系の純ジャズとして聴くには、まずは少人数コンボでのパフォーマンスが聴きたい。キャノンボールのアルト・サックスを、やっとクインテット編成で聴くことが出来た訳である。
Cannonball Adderley『Cannonball Enroute』(写真)。1957年2月と3月の録音。EmArcyレーベル上位のMercuryレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cornet), Junior Mance (p), Sam Jones (b), Jimmy Cobb (ds)。キャノンボール・アダレイの6枚目のリーダー作。但し、録音時はお蔵入り。4年後の1961年にリリースされている。
エマーシー移籍後の4作目のリーダー作で、ようやくクインテット編成の小コンボでの、硬派でハードバップな演奏を実現した『Sophisticated Swing』のアウトテイクと追っかけ録音で構成されたのが本盤。1961年のリリースなので、マイルスのバンドに参加し、ファンキー・ジャズに転身して録音した『The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco』の大ヒットもあって、人気の一流ジャズマンの地位を確立してからの「便乗リリース」盤である。
『Sophisticated Swing』のアウトテイクと追っかけ録音だからといって、内容には遜色は無い。溌剌として流麗、そこはかとなくファンクネス漂い、テクニック上々。歌心溢れ、ちょっと五月蠅いくらいにブラスの音が鳴り響くキャノンボールのアルト・サックス。弟のナット・アダレイのコルネットも元気溌剌、兄のキャノンボールに負けず劣らず、素晴らしい吹奏を聴かせてくれる。
バックのリズム・セクションも好調。クインテット編成の小コンボでのキャノンボールの演奏は素晴らしい。明確にハードバップで、明確にモダン・ジャズ。ムーディーなモダン・ジャズは、キャノンボールには似合わない。『Sophisticated Swing』と同様、聴き応え十分な、ファンキー・ジャズ一歩手前の正統なハードバップ演奏が実に良い。『Sophisticated Swing』と併せて聴きたい。
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