東海岸の聴かせるハードバップ
先の週末から、梅雨の中休みの良い天気が続いていたのだが、今日から一転、梅雨空が戻って来た。どんより曇り空で精神的に鬱陶しいし、雨が落ちてくれば湿度がグッと上がって不快指数MAX。気候病の一環として片頭痛はするわ、とにかく気分が優れない。こんな時のジャズは古風なハードバップが良い。難しいこと無しにリラックスして聴けるジャズが良い。
Donald Byrd『Byrd's Eye View』(写真左)。1955年12月2日、マサチューセッツのケンブリッジ「Harvard Square」での録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Joe Gordon (tp, tracks 1, 2, 4 & 6), Hank Mobley (ts, tracks 1 & 3-5), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。マイナー・レーベルの「Transition」からのリリース。
リーダーのドナルド・バードのトランペットとジョー・ゴードンとのツー・トランペットに加えて、ハンク・モブレーのテナーの3管フロント。バックのリズム・セクションは、シルヴァーのピアノ、ワトキンスのベース、ブレイキーのドラムという、当時最高レベルのトリオが務めている。ちなみにこの盤、ドナルド・バードの初スタジオ録音のリーダー作になる。
パーソネルを見るだけで、この盤の音は「悪い訳が無い」。録音場所の地元ボストン出身のトランペットのジョー・ゴードン以外は当時のジャズ・メッセンジャーズという布陣が興味深い。プロデューサーと録音技師が異なるが、演奏の雰囲気はブルーノートの1500番台に近い。ファンキー・ジャズの前身、ファンクネス漂う典型的なハードバップという雰囲気がとても良い。
収録曲6曲中(ラストの6曲目「Crazy Rhythm」はCDリイシュー時のボートラ)、スタンダード曲が3曲、名作曲家モブレー作が2曲、ベースのワトキンス作が1曲。いずれもまず「曲が良い」、そして「アレンジが良い」。典型的なハードバップな演奏展開の下、味のある、ファンクネス漂うハードバップな演奏が展開される。
バードのトランペットは快調、ゴードンのトランペットも健闘している。この盤でのモブレーは好調。よほど録音時の雰囲気が良かったのだろう。シルヴァーのピアノは小粋でファンキー、ワトキンスのベースは重厚かつ堅実。
そして、何と言っても、ブレイキーのドラミングがとても良い。この盤のセッション全体のリズム&ビートをしっかりコントロールして、フロント3管が吹きやすいスペースを提供し、フロント3管を引き立てている。
何もバトルを繰り広げるだけが東海岸ジャズでは無い。全体的に落ち着いたハードバップで、「聴かせるファンキー・ジャズ」志向でまとめた佳作である。耳当たりが良い演奏だが、バックのリズム・セクションの充実が、フロント3管に良い影響を与えている様で、バードとゴードンのトランペット、モブレーのテナーが好調で破綻無く流麗。リラックスして安心して聴ける東海岸ハードバップの隠れ好盤です。
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