メインストリームなジョンスコ
ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)は、1970年代後半から1980年代初頭にかけては、エンヤ・レコードとアリスタ・レコードの2つのレーベルを股にかけて、単独リーダー作をリリースしている。大雑把に言えば、エンヤは「メインストリーム志向」、アリスタは「ジャズ・ロック志向」のアルバム作り。1980年代以降は「メインストリーム志向」に軸足を置いていく。
John Scofield『Out Like A Light』(写真)。1981年12月14日、ドイツ、ミュンヘンのクラブ・ハーモニーでのライヴ録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Steve Swallow (b), Adam Nussbaum (ds)。スティーヴ・スワローのベース、アダム・ナスバウムのドラムとのギター・トリオをフィーチャーした3枚のアルバムのうちの最後の1枚。
1981年12月12〜14日の3日間、ジョンスコは、独ミュンヘンの「クラブ・ハーモニー」でライヴを行う。その中から12日と13日がアルバム『Shinola』になり、14日のライヴから5曲をセレクトしたのが本作になる。いわゆる前作『Shinola』の続編的位置づけのアルバムになる。
当然、ジョンスコの印象は『Shinola』と同じ感じになる。ジョンスコのエレギは、従来のジャズ・ギターとは全く異なる音色とフレーズ。心地良く「捻れた」ジャズ・ギター。時には「変態ギター」と崇め奉られる、ワン・アンド・オンリーな音とフレーズ。そして、しっかりとジャズを踏まえた「ヘビメタ」エレギ。おおよそ、ジャズ・ギターらしくない、といって、ロック・ギターのコピーではない、ジョンスコ独特のエレギがこのライヴ盤で堪能出来る。
加えて、スワローのエレベとの相性も抜群。ジャズ・ギターらしくないジョンスコのギターを、ロック志向、クロスオーバー志向に傾ける事無く、しっかりとメインストリームな純ジャズ志向に留めているのは、スワローのエレベのフレーズ。自由度の高いモーダルで変幻自在なスワローのエレベは、しっかりと硬派にメインストリーム志向している。そのエレベに絡んで、ジョンスコのエレギが飛翔する。
ナスバウムのドラミングも見事。心地良く「捻れた」、自由度の高いモーダルなエレギとエレベのリズム&ビートをしっかりと支えているのはナスバウムのドラミング。良い意味で変態チックなエレベとエレギの邪魔にならず、しっかりとタイムリーに「リズム&ビート」をキープしサポートしているのはナスバウムのドラミングだと感じる。
このライヴ盤を録音した翌年、ジョンスコは、マイルスの下へ馳せ参じることになる。アルバム『スター・ピープル』(1983年), 『デコイ』(1984年), 『ユア・アンダー・アレスト』(1985年) に参加、マイルス・デイヴィス・グループのメンバーとして、1985年夏のツアーまで同行する。このライヴ盤のジョンスコを聴けば、マイルスがジョンスコのギターを重用したのが良く判る。
加えて、ジョンスコは、このライヴ盤をもって、Enjaレーベルからも離れることになる。マイルスの下で、マイルス流のエレ・ジャズ・ファンクに触れ、ジョンスコ流のファンクネスを身につけていく。ジョンスコのデビュー以来の初期の時代は、このライヴ盤がひとつの節目となって、次の時代へと移行する。
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