キャノンボールの完成された個性
ジャズの楽器の中では、ピアノとアルト・サックスが好きだ。というのも、どちらの楽器も子供の時から、実際に弾いたり吹いたりしていた楽器。ピアノは幼稚園の時から10年間、クラシック・ピアノを習っていた。アルト・サックスは、中学の時、ブラスバンド部に入っていて吹いていた。それから数十年経った今でも、ピアノはちょっとだけ弾けるし、アルト・サックスもちょっとけ吹ける。
ジャズを聴く上で、楽器を弾ける弾けない、は余り関係無いとは思うんだが、それでも、簡単に弾いているようで技術が必要な弾き回しや運指テクニックの良し悪しなどについて、実際に楽器を扱った経験があるが故の感じ方、納得の仕方があるようには思う。実体験に基づく感じ方、とでも言ったら良いのだろうか。
そんなお気に入り楽器のひとつ、アルト・サックスについては、アート・ペッパー、キャノンボール・アダレイ、ジャキー・マクリーン、チャーリー・パーカーが僕のアイドル。ジャズを本格的に聴き始めてから50年弱、この4人のアルト・サックス奏者のリーダー作は結構聴いてきたなあ。
Cannonball Adderley『Julian "Cannonball" Adderley』(写真左)。1955年7月21, 29日、8月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Jerome Richardson (ts, fl), Cecil Payne (bs), Nat Adderley (cornet), J. J. Johnson - (tb, tracks 1-3 & 8-10), Jimmy Cleveland - (tb, tracks 4-7), John Williams (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke - (ds, tracks 1, 3, 4-7 & 10), Max Roach - (ds, tracks 2 & 8-9), Quincy Jones (arr)。
そんなキャノンボール・アダレイのリーダー作の2作目。初リーダー作のサヴォイからいきなりエマーシーへ移籍。収録曲1曲辺りの収録時間も、ラジオやジュークボックスへの対応を考慮したのか、4分前後にまとめて、優れたハードバップな演奏を、気軽に聴くことの出来る優秀盤に仕立て上げられている。
1曲目の「Cannonball」から聴き始めて、演奏全体がしっかりまとまっていて、アンサンブル、ユニゾン&ハーモニーが優秀。アレンジが効いているんだが、この優れたアレンジ、誰のアレンジだろう、と思ってパーソネルを見たら、何と若き日の「Q」、クインシー・ジョーンズである。なるほど、アレンジが良いはずである。
そんな優れたアレンジに乗った、整ったジャジーなバックの伴奏に乗って、キャノンボールがとても気持ちよさそうにアルト・サックスを吹き上げていく。滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。スイング〜ビ・バップの演奏マナーや演奏志向をしっかり踏まえて、キャノンボール独特のバップなアルト・サックスが炸裂している。
リーダー作の2作目を聴くと、とにかく上手くて歌心があって流麗で饒舌。この時点で、キャノンボールのアルト・サックスは個性、テクニック共に完成していたんやなあ、とつくづく思う。この盤、クインシー・ジョーンズの優れたアレンジと相まって、キャノンボールのハードバップなアルト・サックスを心ゆくまで愛でることの出来る秀作です。キャノンボールのアルト・サックスって、基本は「メインストリーム志向」なんですね。
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