金太郎飴な「ブレイスの個性」
ジョージ・ブレイスは、NY出身のソウル・ジャズ・サックス奏者。知る人ぞ知る、かなりマイナーなサックス奏者である。ジャズ史に名を残す、一流ジャズマンの類では無い。ただ、ある演奏スタイルのスタイリストの1人ではある。恐らく、ブルーノート4100番台のマニアのジャズ者の方々しか、知らない名前かもしれない。
ブレイスの演奏スタイルの個性は「ローランド・カークが開発したテクニックで、循環呼吸を活用して、一度に複数の管楽器を演奏する」ところ。この盤でもブレイスは、サックス(テナー・ソプラノ)とストリッチを同時に吹いている。これがユニークというか、僕はこれを面白く、興味深く聴く。が、ジャズ者の方々の中では、明らかに好き嫌いがあると思う。
George Braith『Soul Stream』(写真左)。1963年12月16日の録音。ブルーノートの4161番。ちなみにパーソネルは、George Braith (ts, ss, stritch), Billy Gardner (org), Grant Green (g), Hugh Walker (ds)。
ぱっきぱきファンキー・ギターのグラント・グリーンを擁したオルガン・トリオをバックにした、ジョージ・ブレイスのブルーノート第2作。前作『Two Souls in One』とドラマーが代わっているだけ。この盤では、ソプラノ・サックスに加えて、テナー・サックスとストリッチを同時に吹いている。
出てくるユニゾン&ハーモニーは前作と殆ど同じ。展開するフレーズも前作と同じく、シンプルで判り易い平易なフレーズ。判り易いが発展性がなく、一度に複数の管楽器を吹くという「ギミック」の音のユニークさだけで勝負している。
この辺りが、同じ「一度に複数の管楽器を吹く」という個性的な演奏スタイルを持つローランド・カークと違うところ。カークはユニゾン&ハーモニーのバリエーションを増やし、展開するフレーズについても、独特の吹き回しにチャレンジし、遂には「カーク節」と呼んで良い、個性的なフレーズを身につけた。そして、この「一度に複数の管楽器を吹く」という個性的な演奏スタイルの第一人者として、その名を残した。
ブレイスは惜しいかな、デビュー作の『Two Souls in One』で披露した演奏スタイルを殆ど発展、進化させなかった。逆に、一度に複数の管楽器を吹くという「ギミック」の音のユニークさだけで「聴かせる」リーダー作をまとめた。
これでは、聴き手の立場に立つと、金太郎飴の如く「飽き」が来る。実は、このリーダー作2作目にして、ブレイスのフレーズの組立ての先が読める様になってきて、ユニークさは確実に薄れている。
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