エレクトラ時代のワシントンJr.
スムース・ジャズの父、フュージョン・ジャズにおけるサックスの帝王と呼ばれる「グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)」。以降、略して「ワシントンJr.」。そのワシントンJr. が、その音楽性と個性を確立させたのが、エレクトラ(Elektra)レコードの時代。
アルバム・タイトルとして、『Paradise(パラダイス)』(1980年)、『Winelight(ワインライト)』(1982年)、『Come Morning(カム・モーニング)』(1983年)、『The Best Is Yet to Come(訪れ)』(1984年)、『Inside Moves(インサイド・ムーヴス)』(1985年) の5枚。この5枚で、ワシントンJr. の音楽性と個性の全てが理解出来る。
Grover Washington Jr.『Paradise』(写真左)。1979年のフィラデルフィア録音、1979年のリリース。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (sax, fl, , el-p (7)), James "Sid" Simmons (p), Richard Lee Steacker (g), Tyrone Brown (b), Millard "Pete" Vinson (ds,),Leonard "Doc" Gibbs (perc), John Blake Jr. (vln)。エレクトラ・レコード時代の第一弾。この盤から、ワシントンJr. の伝説は始まるのだ。
エレクトラ・レコードからのリリースと並行して、モータウン・レコードからもリーダー作をリリースしており、モータウンでは、アレンジの志向としては、ライトな「ソウル、R&B」志向のアレンジがメイン。こちら、エレクトラでは、ライトな「ソウル、R&B」志向以外の様々なアレンジにチャレンジしている。
ラテン風、ボサノバ風を含め、バラエティーの富んだアレンジではあるが、基本は「ソフト&メロウ」な、正統フュージョン・ジャズ。力感溢れる流麗サックスがブリリアントなワシントンJr.の真骨頂。特にLP時代のB面、CDでは4曲目「Asia's Theme」以降は、ソフト&メロウな正統派フュージョンのオンパレードで、このB面は聴きどころ満載。ワシントンJr. のフュージョン・ジャズが確立された瞬間を捉えている様で、演奏全体の雰囲気は素晴らしい。
ただ、バックのメンバーは、録音地の地元フィラデルフィアのミュージシャンを採用しているらしく(どうりでパーソネルを見て、知らない名前ばかりが並んでいる)、ちょっと洗練度に欠けるところが惜しい。それでも、ワシントンJr.のサックスは充実しまくりなので、良しとしましょう。そして、ワシントンJr. は、次作以降、この盤のLP時代のB面の演奏〜展開の洗練度を高めていく。
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