キャノンボール with Strings
キャノンボール・アダレイ(Julian Edwin "Cannonball" Adderley・1928年9月15日 - 1975年8月8日)。米国フロリダ州タンパ生まれのジャズ・アルト・サックス奏者。あだ名の『キャノンボール』の由来は、キャンニバル(cannibal:大食漢)に由来する。マイルス・デイヴィスの下での活躍、そして、ソウル・ジャズ、ファンキー・ジャズの立役者の一人、として知られる。
キャノンボールのアルト・サックスは「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」が個性。この個性が、リーダー作の第1作、第2作を聴くと、既に、その個性は確立〜完成されているのが判る。その時、キャノンボールは27歳。若き天才の1人だろう。
『Julian Cannonball Adderley and Strings』(写真左)。1955年10月の録音。エマーシー・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Richard Hayman (musical director), Bill Russo (arr), オーケストラの名称は不明。キャノンボール・アダレイの「ウィズ・ストリングス」盤である。
「ウィズ・ストリングス」盤でも、リズム&ビートを司るリズム・セクション(ピアノ・ベース・ドラム)が入ることが多いのだが、この盤ではリズム・セクションは不在。オーケストラがリズム&ビートを供給している。加えて、キャノンボールのアルト・サックスはタイム感覚が優れている。恐らく、オーケストラやリズム・セクションがいなくても、リズム&キープはしっかりキープ出来るはずである。
リーダー作デビュー時点で、個性を確立〜完成させていたキャノンボール。この「ウィズ・ストリングス」盤でも、その個性・テクニックを遺憾なく発揮している。滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ。ストリングスの調べをバックに、伸び伸びと楽しげにアルト・サックスを吹きまくっている。
バックのストリングスのアレンジは「ベタな弦アレンジ」で、どちらかと言えば「イージー・リスニング」風で甘めで凡庸。悪くは無いが、ジャズとして聴くと物足りない。が、チャーリー・パーカーの「ウィズ・ストリングス」盤のストリングス・アレンジよりは遙かに良い出来なので、耳にはつかない。逆に、キャノンボールのアルト・サックスの邪魔にならない、伴奏ストリングスとしては「まあ良し」である。
というか、バックのストリングスの良し悪しを感じること無く、ただただ、シンプルに、キャノンボールの「滑らかで饒舌、伸びのあるブリリアントなブラスの響き、流麗かつ爽快感溢れる運指テクニック、歌心溢れるアドリブ・フレーズ」に耳を傾けるだけで十分に楽しめる、キャノンボールのソロ・パフォーマンスを愛でる盤である。
「ウィズ・ストリングス盤」をリリースすることは、ジャズマンにとって一流の証し、人気ジャズマンの証と言われるが、キャノンボールは、リーダー作の第3作目にして「ウィズ・ストリングス盤」を披露する栄誉に浴したといえる。それほど、キャノンボールのアルト・サックスは完成され、抜きん出ていたのだろう。確かに、この盤でのキャノンボールのパフォーマンスは素晴らしい。
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