モーダルなソウル・ジャズです。
ブルーノート・レーベルの4100番台は、成熟したファンキー・ジャズ、そこから派生したソウル・ジャズの好盤が結構存在している。しかし、そこはブルーノート、易きに流れた、売らんが為の内容のアルバムは一切無い。少なくとも、過去を振り返った、過去の成果をなぞったものは無い。その時代の先端を行く、内容の濃いものばかりである。
Freddie Roach『Brown Sugar』(写真左)。1964年3月19日の録音。ブルーノートの4168番。ちなみにパーソネルは、Freddie Roach (org), Joe Henderson (ts), Eddie Wright (g), Clarence Johnston (ds)。ウネウネなモード・テナーのジョー・ヘンダーソンの1管フロント、ギター入りのオルガン・トリオがリズム・セクションを務める。
当時、ブルーノートほぼ専属のオルガニスト、フレディ・ローチのソウルフルな1枚。しかし、ただの聴き応えの良いソウル・ジャズでは無い。フロント1管に、モード・テナーの使い手の1人、ジョーヘンがいる。グルーヴ感満載のローチのオルガンと、ウネウネモードのジョーヘンのテナー。不思議な響きのするソウル・ジャズである。
グルーヴ感溢れるファンクネス度の高いオルガン・ジャズなんだが、どこかクールな雰囲気が漂う。とてもクールでスマートなソウル・ジャズ。ジョーヘンのウネウネモードのテナーが、その雰囲気を醸し出している。
そして、グルーヴ感溢れ、ファンクネス濃厚、ソウルフルなローチのオルガンが、モーダルな響きを漂わせたジョーヘンのテナーに歩み寄る。逆に、ジョーヘンは、モーダルだがソウルフルなフレーズで、ローチのオルガンに歩み寄る。
この盤の中に、モーダルなクールな雰囲気漂うソウル・ジャズが詰まっている。ユニーク極まりない響き。そして、そのクールさを最大限に活かして、ソウルフルなイージーリスニング・ジャズまでもが展開される。
ファンクネス滴り落ちるソウルフルなジャズ・オルガン。売れ筋のこってこてファンキーなオルガン・ジャズになるのが本筋なんだが、ブルーノートではそうはならない。
モーダルなテナーをフロント1管に据え、ギターを入れて、リズム&ビートを強化。ここに、モーダルでクールな雰囲気漂う、乾いたファンクネスを湛えた、ご機嫌でユニークなソウル・ジャズが展開されている。
ブルーノートならではのソウル・ジャズ。しかし、ファンクネス滴り落ちるソウルフルなジャズ・オルガンに、こってこてモーダルでウネウネなテナーを引き合わせるなんて、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンって凄いことを発想したもんだ、と単純に感心する。
ジャケはブルーノートらしからぬ、俗っぽくてコテコテなデザイン。これだと、こってこてファンクネスなオルガン・ジャズを想起するが、そうはならないところが、この盤のユニークなところ。中身は、意外と硬派な「モーダルなクールな雰囲気漂うソウル・ジャズ」が詰まっている。
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