タイナー・ミュージックの完成形
マッコイ・タイナーは、1960年代、ブルーノートの諸作でタイナー独自のモーダル・ジャズを確立。ピアノのみならず、アレンジの才を発揮し、1970年代、コルトレーンのアフリカ志向をベースに、独自のワールド・ミュージックと融合したジャズを展開。トリオからジャズ・オーケストラまで、様々な編成で、その才能を存分に発揮した。
McCoy Tyner『Horizon』(写真左)。1979年4月24 & 25日の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Joe Ford (as, ss, fl), George Adams (ts, fl), John Blake (vln), Charles Fambrough (b), Al Foster (ds), Guilherme Franco (congas)。ファレルとアダムスのサックスのフロント2管、バイオリン入りのセプテット編成。
1979年の録音ということもあったのかもしれない。この盤は、タイナーが1970年代に追求、展開してきた「コルトレーンのアフリカ志向をベースに、ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」の集大成的な内容になっている。
というか、1970年代に入って、『Asante』(1970年, Bluenote)、『Sahara』(1972年, Milestone)から始まったタイナーの音世界であるが、アルバムを重ねる度に洗練度を高めていって、この『Horizon』がその完成形だと僕は感じている。
今回は7人編成という、タイナーの「ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」としては小編成の部類だと思うが、人選が当たったのだろう、メンバー全員がタイナー・ジャズの個性をしっかりと理解し、その個性を的確に表現している。
特に、ファレルとアダムスのフロント2管が良い。サックスも良い、そして、フルートも効果的。タイナー独自のモードにもしっかり対応、アブストラクトにもフリーにも展開可能、アフリカ志向のサウンドをしっかり出し、コルトレーンの様にも振る舞う。しかし、最終的には、タイナーの音世界に染まったファレルとアダムスである。これがオリジナリティーがあって良いのだ。
ジョン・ブレイクのヴァイオリンとギルヘルム・フランコのパーカッションの存在が効いている。ヴァイオリンとパーカッションのカラフルな音色は、タイナー独自のワールド・ミュージック志向のジャズの雰囲気を増幅する。このヴァイオリンとパーカッションの存在を前提としたタイナーのアレンジ力は素晴らしい。
『Horizon』は、タイナーの「コルトレーンのアフリカ志向をベースに、ワールド・ミュージックと融合したタイナーのモード・ジャズ」の完成形。タイナーが表現したかったこと、やりたかったことが、この盤に集約されている。タイナー・ミュージックを理解し、愛でるに相応しい名盤だと思う。
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