エレクトラ時代の最終作です。
「グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)」。以降、略して「ワシントンJr.」。彼が「スムース・ジャズの父」と形容される個性を確立したのが、1980年から1985年にかけての、エレクトラ(Elektra)レコードの時代。このエレクトラ時代の5枚のリーダー作で、ワシントンJr. の音楽性と個性が確立された。
Grover Washington Jr.『Inside Moves』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr.(sax), Richard Tee (Fender Rhodes), Eric Gale: Guitar (g), Marcus Miller (b), Ralph MacDonald (ds, perc), Buddy Williams (ds)。ゲストとして、Steve Gadd (ds, on A1), Anthony MacDonald (perc, on A3, B1 & B3), Anthony Jackson (b, on A3)。
ワシントンJr.のエレクトラ時代の5枚目、最終作になる。録音時のメンバーもある程度固定しており、アルバム全体の演奏の雰囲気の統一感が増していて、リーダー作としてしっかりとした内容に仕上がっている。ソフト&メロウなフュージョン・サウンドではあるが、仄かにR&B志向、ジャズ・ファンク志向の音作りが見え隠れする。
名盤『Winelight』の「Just The Two of Us」の二匹目のドジョウ的なボーカル曲が良いアクセントになっている。1982年にユランダが歌った「Watching You Watching Me」をカヴァーした3曲目と6曲目の「When I Look at You」。
どちらの曲も、ジョン・ルシアンをゲスト・ヴォーカリストとして採用し、雰囲気良く唄い上げている。そして、ルシアンのヴォーカルに絡むワシントンJrのサックスがとても良い。ワシントンJr.は、ヴォーカルの伴奏役としても、素晴らしいサックスを聴かせてくれる。
続く4曲目の「Secret Sounds」、5曲目の「Jet Stream」、そしてラストの「Sassy Stew」は、ワシントンJr.のサックスがとってもソフト&メロウ。意外と力感溢れるブロウで、男気溢れる吹奏はまさに「ジャズ」。
マーカス・ミラーのエレベもキッチリ効いて、演奏全体の滑らかさは、明らかに後のスムース・ジャズの先駆け。バックの演奏はテクニック良く、しっかりまとまっているので、演奏全体が易きに流れない。決して、イージーリスニングにはならない。
そうそう、冒頭1曲目のタイトル曲「Inside Moves」は、後の、Steve Gadd『The Gadd Gang』の2曲目の「Strength」と同一曲です。この曲は「Steve Gadd, Ralph MacDonald, William Salter」の共作。この曲のバックのリズム隊には、スティーヴ・ガッドがドラムでゲスト参加しているので、この盤では曲名を「Inside Moves」として、ガッドが自らのバンドで録音時には、何故か曲名を変えて収録したものと思われます。
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