ジャズ喫茶で流したい・262
ディヴ・リーブマンが元気そうでなにより。そんな思いを持てるような、リーブマンがここ5年ほどの間に、様々な演奏フォーマット&内容のリーダー作を結構な数、リリースしている。頼もしい限りである。
Dave Liebman『Trust and Honesty』(写真左)。2022年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Dave Liebman (ss, ts), Ben Monder (g), John Hébert (b)。リーダーのリーブマン、この盤ではピアノもドラムも使わないトリオ形式を選択している。ほとんど馴染みの無い編成での演奏なので、ついつい触手が伸びる。
なぜピアノもドラムも使わなかったか。この盤を聴けば直ぐに判る。この盤、全曲バラード曲で占められた企画盤なのだ。バラード曲をリーブマンがソプラノ&テナー・サックスで、心ゆくまで吹きまくる。
サックスだけがフロント楽器を務めるワンホーンであれば、リズムを刻むのはドラムよりギターの方が良い。ベースラインをしっかりと押さえる必要があるのでアコースティック・ベースは必須。
ということで、今回は敢えてピアノとドラムはオミットして、心ゆくまでリーブマンが吹きまくり、そのリーブマンの奏でるフレーズだけを愛でる。それが狙いの演奏形態。これがスバリ大当たり。とても聴き応えのあるバラード曲集になっている。
リーブマンはサックスのバーチュオーゾの一人なので、バラード表現にも長けたものがある。「Stella By Starlight」や「Come Rain or Come Shine」「Lover Man」等の有名なスタンダード曲もさることながら、ちょっと玄人好みのスタンダード曲「Moon and Sand」「Bye Bye Blackbird」「Blue in Green」の出来が素晴らしい。リーブマンのバラード表現を堪能出来る。
バックのリズム隊、ギターのモンダーとベースのエベールは、実に息の合ったリズム&ビートで、リーブマンのサックスをサポートし、鼓舞し、引き立てる。サックスがワン・ホーンのバラード曲集での「ギター+ベース」の変則リズム隊は「絶対にアリ」と強く思わせる、説得力のあるリズム隊である。
ジョン・コルトレーンの『バラード(ballads)』、マイケル・ブレッカーの『ニアネス・オブ・ユー(Nearness Of You)』に比肩する、とても優れた内容のリーブマンのバラード集。後世における「名盤」候補。しみじみ聴ける好盤です。
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