硬派でアーシーなソウル・ジャズ
つい最近、1950年代から60年代のブルーノート・レーベルのカタログには、他のレーベルには見られない、「これ誰?」レベルのユニークなジャズマンのリーダー作がある、と書いたが、特に、4100番台には、そんなユニークなジャズマンのリーダー作が多い様な気がしている。
Don Wilkerson『Shoutin'』(写真左)。1963年7月29日の録音。ブルーノートの4145番。ちなみにパーソネルは、Don Wilkerson (ts), John Patton (org), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。
ソウル・ミュージック畑のサックス奏者、“テキサス・テナー”の雄、ドン・ウィルカーソンの、ブルーノートでのデビュー作『Preach Brother!』(BN4107番)に次ぐ、ブルーノートでの2作目。小難しいところは皆無。それでも、演奏内容としては、結構、高度な弾き回しもしていて、演奏のレベルは高い。
前作と同様、バックはブルーノート御用達のジャズメンで固めている。今回はピアノでは無く、ジョン・パットンのオルガンが入り、こってこてパッキパキのファンキー・ギターのグラント・グリーンは据え置きだが、ドラムがベン・ディクソンに代わっている。
ダンサフルでアーシーな「踊れる」テナーのウィルカーソンの個性が、今回のオルガン入りギター・トリオの「こってこてファンキー」なリズム&ビートを受けて、より濃厚になっている。アーシーとファンキーは良い相互作用を起こすらしく、ファンキー・ジャズというよりは、ダンサフルなソウル・ジャズといった雰囲気になっている。
特にジョン・パットンのオルガンの参入が効いている。こってこてファンキーなうえに、スインギーなオルガンが、ウィルカーソンのアーシーなテナーを煽る煽る。ウィルカーソンはノリノリで、ダンサフルなフレーズを発散しまくる。
そして、意外とグリーンの「こってこてパッキパキ」のファンキー・ギターが、この盤の演奏全体の雰囲気に「ジャジー&ブルージー」な音付けをしていて、ソウルフルな雰囲気濃厚で、どこかR&B的な演奏に走りがちなところを、ジャズの範疇に軸足をしっかりとキープさせている。
とても「聴いて楽しい」ダンサフルなソウル・ジャズなんだが、さすがはブルーノート、ダンサフルなソウル・ジャズでも、ジャズとしての「アーティステック」な部分はしっかりキープしている。ブルーノートならではの「硬派でアーシーなソウル・ジャズ」盤ですね。
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