ドーハムの初リーダー作 『Kenny Dorham Quintet』
この季節の雨の日の午後、しとしと降る暖かい雨を見ながら、聴きたいなあ、と思うのが、ケニー・ドーハムの『静かなるケニー』。バップ仕込みの溌剌とした丸みのあるトランペットがベースのドーハム。シットリしたバラード演奏にも味があって、ついついしみじみと聴き入ってしまう。
で、ケニー・ドーハムのトランペットが無性に聴きたくなって、当ブログで扱っていないアルバムはあるのかしら、と物色して、なんと、ドーハムの初リーダー作については、まだ、当ブログで扱っていないことが判明。ということで、改めて、聴き直してみた。
『Kenny Dorham Quintet』(写真左)。1953年12月15日、Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Jimmy Heath (sax), Walter Bishop Jr. (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds)。改めて、哀愁のバップ・トランペッター、ケニー・ドーハムの初リーダー作になる。ドーハムは録音当時は29歳。初リーダー作としては「遅咲き」である。
演奏内容としては、ビ・バップな演奏のそれぞれのパートが長くなった感じで、成熟したハードバップな演奏では無い。アレンジもビ・バップ時代の雰囲気濃厚。
それでも、それはそれで「まずまずの出来」で、リーダーのドーハムのトランペットは溌剌としていて、しっかり吹き切っている。ドーハムのトランペットの特徴がしっかり記録されていて、音色は明朗で滑らか。テクニックもまずまず確か。
まあ、それでも、ドーハムの個性のひとつである「フレーズがちょっと危うい」ところ、滑らかにアドリブ・フレーズを吹き進めていくのだが、ところどころで音の端々で「よれる」もしくは「ふらつく」ところが、この初リーダー作でも見え隠れしているところは「ご愛嬌」。耳にすれば気になるが、もう今では、ドーハムやからなあ、と諦めて、拘らずに聴いている(笑)。
その弱点を凌駕して余りある「ビ・バップ仕込みの、中音域を活かした、溌剌として哀愁を帯びたファンクネス漂うフレーズ」がドーハムにはあるので、「よれる」もしくは「ふらつく」部分は許容出来る範囲。収録曲はオリジナル曲は1曲のみ。あとは、結構渋めのスタンダード曲とセロニアス・モンク曲。どの曲でもドーハムは溌剌とトランペットを吹き上げている。
CDリイシューの時、LP時代の未収録曲「I Love You(Take 2)」「Chicago Blues」「Lonesome Lover Blues」が入っているが、これはオミットした方が良いだろう。特に「Chicago Blues」「Lonesome Lover Blues」は、ドーハムのボーカル入りで、これが聴けたものでは無いのだ。僕はいつも飛ばしている(笑)。
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