ARTEMIS『In Real Time』良好
その時点での代表的なジャズマンを選定してグループを結成させ、スーパーグループとして売り出す、という企画型のレコーディングは、何時の時代にもある。1950年代には、ノーマン・グランツ主宰のJATP(Jazz at the Philharmonic)があった。フュージョン・ジャズの世界では「Fuse One」というスーパーグループがあったなあ。
一番覚えているのは、1980年代半ば、純ジャズ復古の時代に、新生ブルーノートがオーディションで発掘した20歳代前半のNY若手ミュージシャンによって結成された「Out of Blue(アウト・オブ・ブルー)」というスーパーグループ。このグループからは、有名どころとして、ケニー・ギャレット (Kenny Garrett) 、ラルフ・ピーターソン (Ralph Peterson Jr.) 、リニー・ロスネス (Renee Rosnes) を輩出している。
ARTEMIS『In Real Time』(写真左)。ちなみにパーソネルは、2023年5月のリリース。Ingrid Jensen (tp), Nicole Grover (ts), Alexa Tarantino (multi-reed), Renee Rosnes (p), Noriko Ueda (b), Allison Miller (ds)。現代ジャズの最高峰女性プレイヤーが集結したスーパー・グループ「アルテミス」の3年振りのアルバム。ブルーノート・レコードからの2作目になる。
音楽監督は、ピアニストのリニー・ロスネスが務める。ベースには、日本人女性ベーシストの上田典子が参加している。内容的には、現代の最先端を行く「ネオ・ハードバップ」もしくは「ネオ・モード・ジャズ」、いわゆるコンテンポラリーなメインストリーム・ジャズである。それぞれの演奏能力は非常に高く、様々な音楽要素へ柔軟に適応。これまでのジャズの様々な演奏スタイルやトレンドを包含して、新鮮でオリジナリティ溢れる「現代のモダン・ジャズ」の音を出していて見事。
それぞれのオリジナル曲も良い出来で、聴き応えは十分。ウェイン・ショーター作の「Penelope」、ライル・メイズ作の「Slink」のカヴァーもアルテミス自身の個性によってしっかり解釈された演奏で、とても新鮮に聴こえる。とにかく、演奏力は半端ない。そして、それぞれの楽器の音を良く聴き、適切な反応が素晴らしいインタープレイも見事。いやはや、とても良く出来た、現代の「ネオ・ハードバップ」もしくは「ネオ・モード・ジャズ」。
2020 年にデビューしたこのグループ「アルテミス」。今回は3年振りの録音となったみたいだが、これだけのコンテンポラリーで上質なジャズを表現出来るグループである。せっかくの企画、せっかくのスーパーグループである。もう少し短い頻度で、様々な企画盤を出し続けても良いと思うのだがどうだろう。こういうしっかりとした「音の志向」もったグループは稀少なので、僕はそれを期待したい。
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