ジャズ喫茶で流したい・261
「小粋なジャズ盤」の探索は続く。手持ちの音源をザッと見直しながら、小粋なジャズか否か、の取捨選択を繰り返しつつ、こんな盤あったんや、と聴いたはずだが、内容を忘れてしまった盤については、しっかり聴き直しつつ、「小粋なジャズ盤」の探索を続けている。
Joey Baron『Down Home』(写真左)。1997年の録音。ちなみにパーソネルは、Joey Baron (ds), Arthur Blythe (as), Bill Frisell (g), Ron Carter (b)。1955年、米国リッチモンド生まれのドラマー、ジョーイ・バロンがリーダーのカルテット編成。豪快なトーンと強烈な個性的アルト・サックスのブライスと、変則チックな自由で捻れたギターのフリゼールがメンバーに入っている。
このパーソネルだと、さぞかし捻れて限りなくフリーな即興インタープレイを想起するのだが、これがまあ、至極オーソドックスな、メンインストリーム志向の純ジャズを展開しているから面白い。当然、過去のハードバップの焼き直しでは無く、新しい響きを宿した、ネオ・ハードバップ志向のファンキー・ジャズがメイン。
スインギーな展開から、ファンクネス濃厚な展開、そして、浮遊感溢れるニュー・ジャズ的な展開まで、現代の「ネオ・ハードバップ」の走りのような展開のジャズが繰り広げられている。過去のハードバップやモード・ジャズの焼き直しでは全く無いところがこの盤の個性的なところ。リーダーでドラマーのバロンの志向がもろに反映されているのだろう。全く趣味の良いメインストリーム・ジャズである。
豪快トーンと限りなく自由度の高いモーダルなアルト・サックスのブライスと、変態チックに捻れるギターのフリゼールが、オーソドックスでハードバップ志向のパフォーマンスが面白い。さすが、ところどころに個性的で新鮮な響きやフレーズを織り込みながら、オーソドックスな展開でグイグイ攻める。アンサンブルもインタープレイも、なかなか締まった展開で聴き応えがある。
アバンギャルド・ジャズの中核ジャズマン、ジョン・ゾーンとの共演がメインだったジョーイ・バロンが、この盤では、一転、メンインストリーム志向の純ジャズなドラミングを披露しているのがとても興味深い。録音年は1997年。21世紀以降にジャズの演奏トレンドの1つとなる「ネオ・ハードバップ」の先駆けの様な内容は、聴いていてなかなか楽しめる。
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