和クロスオーバーの好盤です。
この4〜5年の間に「和フュージョン」の名盤・好盤がリイシューされている。今までは、フュージョン・ブーム当時、売れた実績のあるアルバムのみがリイシューされてきたきらいがあるが、この4〜5年の間のリイシューはちょっと様相が違う。
フュージョン・ブームの時、確かにリリースされているが、内容的にマニア好み、若しくはレコード会社が販売に力を入なかった、そんな理由で、あまり売れること無く、ひっそりと廃盤になっていった「和クロスオーバー」「和フュージョン」の名盤・好盤がリイシューされているのだ。
我々、フュージョン・ジャズ者からすると、とても嬉しい、とても懐かしいリイシューである。いいぞ、どんどん出してくれ、と心の中で叫びながら、せっせとそんなアルバム達を聴き直している。
山岸潤史『Really?! - ほんまか』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、鳴瀬喜博, 小原礼, 田中章弘 (b), 村上"ポンタ"秀一, ジョニー吉長, 上原裕 (ds), 国府輝幸, 難波弘之, 緒方泰男 (key), ペッカー, マック清水 (perc), 金子マリ, 亀淵友香, 上村かをる (chorus) 等。ホーン・セクションはスペクトラム。ゲストにGary Boyle (g)。特にバックスバニーのメンバーはギター以外、全員参加である。
現在ニューオーリンズに拠点を移し活動中の日本人ギタリスト、山岸潤史の初リーダー作。曲者揃いのパーソネル。音的には、フュージョン・ジャズというよりは、クロスオーバー・ジャズがピッタリ合う。
ギタリストの山岸潤史。1953年6月生まれ。今年で70歳。もともとは、渋い和ロックのブルース・バンド「ウエスト・ロード・ブルース・バンド」のギタリストでデビュー。当時は「日本のジミ・ヘン」と形容されたアグレッシヴでブルージーなエレギでその名を馳せた。その後、ソウル・バンドのソー・バッド・レビューに加入。その後、ソロとして、この『リアリー?!』をリリースしている。
この盤での山岸のエレギは、まだブルース・ロックに軸足を残しているようで、ゲストのゲイリー・ボイルのジャジーなエレギに、山岸はブルース・ベースのフレーズで応対している。これがなかなかスリリングで、なかなかにユニーク。ジャズ・ギターとブルース・ギターとの融合。クロスオーバー・ジャズと形容するのが一番落ち着く。
僕は山岸のエレギについては、ウエスト・ロード・ブルース・バンドのデビュー作『Blues Power』で知った。日本人でも、こんなブルース・ギターがギンギンに弾けるんや、とビックリするやら、頼もしく思うやら。
そんな山岸のブルース・エレギが大活躍しているのが、この『リアリー?!』。ブルース・エレギを基調としながら、ファンクなフレーズも醸し出していて、アルバム全体の雰囲気は「クロスオーバー・ファンク・ロック」でしょうか。ギターインストのファンク・ミュージック、そのオフビートの音世界が、どこかジャズにつながっている。そんな感じかな。
いやはや、とにかく、思いっ切り「懐かしい」、和クロスオーバーなアルバムがリイシューされたもんです。ジャケットもとてもユニークで印象的。タイトルの『リアリー?!』は、ライナーには「ほんまか?!」と振り仮名がある。この「ほんまか?!」の方が、山岸のソロ・アルバムらしいネーミングですね。
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