ジャズ喫茶で流したい・260
小粋なジャズ盤を探索していると、特定のレーベルに「小粋なジャズ盤」が集まっているように感じる時がある。「Criss Cross Jazz(クリス・クロス・ジャズ)」もその1つ。ジェリー・ティーケンスによって、1980年に設立されたオランダのジャズ・レーベル。現代メインストリーム・ジャズにおける最重要レーベルのひとつである。
約40年もの間、有望な若手や新人ジャズマンをメインに、リーダー盤を数多く手掛けてきている。プロデューサー、エンジニア、ジャケット・デザイナーらジャズを専門とするスタップによる一貫した音作り。パッケージングやデザイニングは統一感があり、見れば「Criss Cross Jazz」と判るほどの徹底ぶり。いわゆる「現代のブルーノート」の様な雰囲気のレーベルである。
Richard Wyands Trio『Reunited』(写真左)。1995年6月18日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Richard Wyands (p), Peter Washington (b), Kenny Washington (ds)。通好みのピアニストとして著名なリチャード・ワイアンズがリーダーのトリオ編成。リズム隊は、ベースのピーター、ドラムのケニーの「Wワシントン」。
リチャード・ワイアンズ(Richard Wyands)は、1928年7月生まれの米国オークランド出身のジャズ・ピアニスト。2019年9月に惜しくも91歳で鬼籍に入っている。ジーン・アモンズ、ケニー・バレルのサイドマンをはじめ、多くの一流ジャズマンのセッションに参加している。リーダー作は長いキャリアの中で僅か7枚。しかし、その内容は良い。
この『Reunited』は、そんな数少ないリーダー作の中の3作目。現代のNYを代表する最強リズム隊「Wワシントン」を従えて、いつになく充実したパフォーマンスを繰り広げている。選曲を見渡せば、なかなか味のあるスタンダード曲やジャズメン・オリジナル曲がピックアップされていて、原曲のフレーズの良さもあって、メロディアスで小粋な弾き回しは味わい深いものがある。
それと、当時67歳のワイアンズが、いつになく覇気溢れるピアノを弾き回しているのは、バックのリズム隊、ドラムのケニーの「Wワシントン」の存在が大きい。アルバム全体を覆う心地良いスイング感、小粋な「間」とファンクネスは、「Wワシントン」の叩き出すリズム&ビートが醸し出している。
そこに、ワイアンズの小粋でジャジーなピアノが乗っかって、実に味わい深い、ネオ・ハードバップなトリオ演奏に仕上がっているのだ。1995年という録音時期ながら、古き良きハードバップ時代の、スリリングでハイ・テクニックなインタープレイが展開されていて、聴き応えも十分。決してラウンジ・ジャズ風には展開しないところに、「Criss Cross Jazz」の矜持を感じる。
1995年の録音なので、ワイアンズは67歳。有望な若手や新人ジャズマンをメインにリーダー作を制作する「Criss Cross Jazz」としては、この大ベテランのワイアンズのリーダー作は異色ではあるのだが、味わい深い、小粋で安心感のある演奏にしあがっているのは、さすが「Criss Cross Jazz」だと感心している。
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