« R&B系ミュージシャンとの邂逅 | トップページ | アコピだけのボブ・ジェームス盤 »

2023年4月21日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・260

小粋なジャズ盤を探索していると、特定のレーベルに「小粋なジャズ盤」が集まっているように感じる時がある。「Criss Cross Jazz(クリス・クロス・ジャズ)」もその1つ。ジェリー・ティーケンスによって、1980年に設立されたオランダのジャズ・レーベル。現代メインストリーム・ジャズにおける最重要レーベルのひとつである。

約40年もの間、有望な若手や新人ジャズマンをメインに、リーダー盤を数多く手掛けてきている。プロデューサー、エンジニア、ジャケット・デザイナーらジャズを専門とするスタップによる一貫した音作り。パッケージングやデザイニングは統一感があり、見れば「Criss Cross Jazz」と判るほどの徹底ぶり。いわゆる「現代のブルーノート」の様な雰囲気のレーベルである。

Richard Wyands Trio『Reunited』(写真左)。1995年6月18日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Richard Wyands (p), Peter Washington (b), Kenny Washington (ds)。通好みのピアニストとして著名なリチャード・ワイアンズがリーダーのトリオ編成。リズム隊は、ベースのピーター、ドラムのケニーの「Wワシントン」。

リチャード・ワイアンズ(Richard Wyands)は、1928年7月生まれの米国オークランド出身のジャズ・ピアニスト。2019年9月に惜しくも91歳で鬼籍に入っている。ジーン・アモンズ、ケニー・バレルのサイドマンをはじめ、多くの一流ジャズマンのセッションに参加している。リーダー作は長いキャリアの中で僅か7枚。しかし、その内容は良い。
 

Richard-wyands-trioreunited

 
この『Reunited』は、そんな数少ないリーダー作の中の3作目。現代のNYを代表する最強リズム隊「Wワシントン」を従えて、いつになく充実したパフォーマンスを繰り広げている。選曲を見渡せば、なかなか味のあるスタンダード曲やジャズメン・オリジナル曲がピックアップされていて、原曲のフレーズの良さもあって、メロディアスで小粋な弾き回しは味わい深いものがある。

それと、当時67歳のワイアンズが、いつになく覇気溢れるピアノを弾き回しているのは、バックのリズム隊、ドラムのケニーの「Wワシントン」の存在が大きい。アルバム全体を覆う心地良いスイング感、小粋な「間」とファンクネスは、「Wワシントン」の叩き出すリズム&ビートが醸し出している。

そこに、ワイアンズの小粋でジャジーなピアノが乗っかって、実に味わい深い、ネオ・ハードバップなトリオ演奏に仕上がっているのだ。1995年という録音時期ながら、古き良きハードバップ時代の、スリリングでハイ・テクニックなインタープレイが展開されていて、聴き応えも十分。決してラウンジ・ジャズ風には展開しないところに、「Criss Cross Jazz」の矜持を感じる。

1995年の録音なので、ワイアンズは67歳。有望な若手や新人ジャズマンをメインにリーダー作を制作する「Criss Cross Jazz」としては、この大ベテランのワイアンズのリーダー作は異色ではあるのだが、味わい深い、小粋で安心感のある演奏にしあがっているのは、さすが「Criss Cross Jazz」だと感心している。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新。

  ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« R&B系ミュージシャンとの邂逅 | トップページ | アコピだけのボブ・ジェームス盤 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« R&B系ミュージシャンとの邂逅 | トップページ | アコピだけのボブ・ジェームス盤 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー