ファンキー&グルーヴィーな盤 『Feelin' The Spirit』
ブルーノートのお抱えギタリスト、グラント・グリーン。我が国ではあまり知られたギタリストでは無かった。通算で約30枚ものリーダー作をリリースした、ジャズ・ギタリストのメジャーな存在だと思うのだが、僕がジャズを本格的に聴き始めた1970年代後半から暫くは、グリーンの名前を聞いたことが無かった。
グリーンの名前が我が国でも流布し始めたのは、RVGリマスターのブルーノート盤の復刻シリーズからだと思う。それでも、それ以来、爆発的にその人気が上がったということは無く、不思議なことなんだが、恐らく、グリーンの「ファンクネス濃厚、パッキパキ鋼質のシングルトーン」の渋いギターが、どうも我が国では分が悪いらしい。速弾きなどの派手派手しさは無く、流麗でスインギーなオールド・スタイルのジャズ・ギターでも無いところがネックなんだろう。
Grant Green『Feelin' The Spirit』(写真左)。1962年12月21日の録音。ブルーノートの4132番。 ちなみにパーソネルは、Grant Green (el-g), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds), Marvin Masseaux (tambourine)。ブルーノートのお抱えギタリスト、グラント・グリーンの通算13枚目のリーダー盤。
この盤でのグラント・グリーンのギターは「ファンクネス濃厚、パッキパキ鋼質のシングルトーン」は変わらない。ほんと、スタイルがブレないギタリストである。この盤は、タイトルから類推できる様に「アフロ・アメリカンのスピリチュアル」を志向した音作りになっている。これが、グラント・グリーンのギターの持つ「ファンキー・グルーヴ」にジャストフィット。ブルージーでグルーヴィーでファクネス溢れる名演に惚れ惚れする。
そして、これは凄いなあ、と感心したのが、ハービー・ハンコックのバッキング。新主流派志向、モーダルで時々フリーなピアノのハンコックが、このグラント・グリーンのギターにフィットするのか、と思ったんだが、さすがハンコック、素晴らしいテクニックと弾き回しで、グリーンのギターの邪魔をすること、音がぶつかることは全く無く、グリーンのギターのグルーヴ感を増幅し、ファンクネスを増強する。ハンコックのピアノのテクニックの奥深さを再認識した。
ワーレン、ヒギンスのリズム隊のサポートも良好で、この盤については、ジャズ・ギター盤にありがちな「ギターの一本弾きが単調が故にダレる」が全く無く、全編、締まった内容の演奏になっている。ジャズのルーツともいうべきブルースやゴスペルを基にした演奏が実にしみじみと染み入ります。ジャズ・ギターの、グラント・グリーンの名盤と言えるでしょう。
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