タウナーのソロ・ギターの新盤
マンフレート・アイヒャーが1969年に設立した「ECM(Edition of Contemporary Music)」。欧州ジャズの老舗レーベルであり、1970年代以降、21世紀に入って今日に至るまで、西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」を発信し続けている。
アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」を反映した、限りなく静謐で豊かなエコーを湛えた録音が個性。レーベルのジャズの演奏志向としては、4ビートのスインギーな従来のジャズとは無縁。即興演奏をメインとした、現代音楽から静的なスピリチュアル・ジャズの影響が色濃い「ニュー・ジャズ」。
Ralph Towner『At First Light』(写真左)。2022年2月、オスロでの録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (g) のみ。プロデュースはマンフレート・アイヒャー。ECMレーベルと共に歩み続けて、およそ50年。今年83歳になる米国のプログレッシヴなギタリスト、ラルフ・タウナーの最新ソロ・アルバムになる。
凛とした透明度の高い、切れ味の良い音。フレーズは躍動感溢れ、限りなくリリカルで耽美的でメロディアス。そんなタウナーのギターが「ECMエコー」と呼ばれる印象的な深いエコーを纏って鳴り響く。タウナーのギターは明らかに「ECMレーベルの音」を具現化している。そんなタウナーのギターをこの最新のソロ盤で再確認することが出来る。
ホーギー・カーマイケルの 「リトル・オールド・レディ」、ジュール・スタインの 「メイク・サムワン・ハッピー」、人気のスタンダード曲「ダニー・ボーイ」など、選曲も小粋で聴き応えがある。タウナーの自作曲も内容は濃い。それにしても、タウナーのギターはブレが無い。かの初期の名盤『Diary』から約50年。タウナーのギターの個性はまったく変わらない。それでいて、マンネリに陥らないところが素晴らしい。高い演奏力と表現力の賜物だろう。お得意の12弦ギターのストロークも透明度高く躍動感抜群。
タウナー本人いわく、ジョージ・ガーシュウィン、ジョン・コルトレーン、ジョン・ダウランド、ビル・エヴァンスなどからの影響を受けている、というが、このソロ・パフォーマンスを聴いていて、それも至極納得。そして、ECMのお抱えギタリストらしく、出てくる音は「ECMの音」そのもの。そんなタウナーのギターが堪能出来る好盤である。
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