« ラヴァとピエラヌンツィのデュオ | トップページ | ウエストコースト・ジャズのタル »

2023年4月 3日 (月曜日)

タウナーのソロ・ギターの新盤

マンフレート・アイヒャーが1969年に設立した「ECM(Edition of Contemporary Music)」。欧州ジャズの老舗レーベルであり、1970年代以降、21世紀に入って今日に至るまで、西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」を発信し続けている。

アイヒャー自らの監修・判断による強烈な「美意識」を反映した、限りなく静謐で豊かなエコーを湛えた録音が個性。レーベルのジャズの演奏志向としては、4ビートのスインギーな従来のジャズとは無縁。即興演奏をメインとした、現代音楽から静的なスピリチュアル・ジャズの影響が色濃い「ニュー・ジャズ」。

Ralph Towner『At First Light』(写真左)。2022年2月、オスロでの録音。ちなみにパーソネルは、Ralph Towner (g) のみ。プロデュースはマンフレート・アイヒャー。ECMレーベルと共に歩み続けて、およそ50年。今年83歳になる米国のプログレッシヴなギタリスト、ラルフ・タウナーの最新ソロ・アルバムになる。
 

Ralph-townerat-first-light

 
凛とした透明度の高い、切れ味の良い音。フレーズは躍動感溢れ、限りなくリリカルで耽美的でメロディアス。そんなタウナーのギターが「ECMエコー」と呼ばれる印象的な深いエコーを纏って鳴り響く。タウナーのギターは明らかに「ECMレーベルの音」を具現化している。そんなタウナーのギターをこの最新のソロ盤で再確認することが出来る。

ホーギー・カーマイケルの 「リトル・オールド・レディ」、ジュール・スタインの 「メイク・サムワン・ハッピー」、人気のスタンダード曲「ダニー・ボーイ」など、選曲も小粋で聴き応えがある。タウナーの自作曲も内容は濃い。それにしても、タウナーのギターはブレが無い。かの初期の名盤『Diary』から約50年。タウナーのギターの個性はまったく変わらない。それでいて、マンネリに陥らないところが素晴らしい。高い演奏力と表現力の賜物だろう。お得意の12弦ギターのストロークも透明度高く躍動感抜群。

タウナー本人いわく、ジョージ・ガーシュウィン、ジョン・コルトレーン、ジョン・ダウランド、ビル・エヴァンスなどからの影響を受けている、というが、このソロ・パフォーマンスを聴いていて、それも至極納得。そして、ECMのお抱えギタリストらしく、出てくる音は「ECMの音」そのもの。そんなタウナーのギターが堪能出来る好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新。

  ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics』

 
Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

« ラヴァとピエラヌンツィのデュオ | トップページ | ウエストコースト・ジャズのタル »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ラヴァとピエラヌンツィのデュオ | トップページ | ウエストコースト・ジャズのタル »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー