1950年代スタイルのジャマル
アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)が、あの世に旅立って、そろそろ1ヶ月になる。4月6日、前立腺がんのため死去。92歳の大往生であった。現時点では、2019年リリースの『Ballades』が遺作になる。しかし、90歳になるまで、現役ピアニストを貫き通し、コンスタントにリーダー作を出し続けたジャマルは凄い。スタイルは年代毎に異なるスタイルを持つユニークなピアニストだった。
Ahmad Jamal『Ahmad's Blues』(写真左)。1958年9月6日、米国Washington, D.Cの「The Spotlite Club」でのライヴ録音。原盤はArgo。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), Israel Crosby (b), Vernel Fournier (ds)。
ジャマルは「経年変化」が著しいピアニストで、活躍した年代によって異なる顔を持つ。1950年代は「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノ。この『Ahmad's Blues』でのジャマルのピアノは、まさに「1950年代」スタイル。
スタンダード曲がメインのライヴ音源なので、1950年代ジャマルの特徴が良く判る。タッチは軽快でオーソドックス。変な捻れや癖は無い。間の使い方が上手く、フレージングは必要最小限の厳選された音での弾き回し。雰囲気はアーバンでクール。1950年代半ばの繊細なタッチは、1958年に来て、少しダイナミズムが加わって、弾き回しのスケールが一回り大きくなっている。
バックのリズム隊、イスラエル・クロスビーのベース、ヴァーネル・フォーニアのドラムも良い味を出している。ジャマルの「間」を活かし「音を厳選」した弾き回しに、スインギーに、とても上手く適応している。特にベースのチェンジ・オブ・ペース、そして、ドラムの上質なテクニック(ブラシなど)が、このトリオ演奏を格調高いものにしている。
ジャマルの1950年代スタイルの名盤『But Not for Me』ばかりがもてはやされるのだが、このワシントンD.Cでのライヴ盤は、決して内容的に劣っていない。どころか、弾き回しのダイナミズムは、この『Ahmad's Blues』の方が上回っていて、雰囲気の良い録音と相まって、まるでクラブの中に入って聴いているかのような臨場感がとても良い。ジャマルの1950年代スタイルの「隠れ名盤」でしょう。
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