アップル・レコードのMJQ・1
モダン・ジャズ・カルテット(The Modern Jazz Quartet・MJQと略)のアルバムの落ち穂拾いだが、マイナーな盤は結構、スルーしていることが良く判った。もともとCD廃盤になっていたものや、そもそもCDリイシューされていなかったものがあって、そんな廃盤状態の盤が、ここ2〜3年で、サブスク・サイトにアップされてきたので、初めて聴く機会に恵まれたものもある。
The Modern Jazz Quartet『Plastic Dreams』(写真左)。1971年5月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Milt Jackson (vib), John Lewis (p, harpsichord), Percy Heath (b), Connie Kay (ds), Joe Newman, Snooky Young (tp (tracks 4-6)), Garnett Brown (tb (tracks 4-6)), Jimmy Buffington (French horn (tracks 4-6)), Don Butterfield (tuba (tracks 4-6))。
この盤は、MJQの盤というか、ジャズ盤として珍しい、ビートルズで有名なAppleレコードからのリリース。Appleレコードって、ビートルズのアルバムだけでは無く、ロックやシンガーソングライターの渋めのミュージシャンのアルバムを扱っていたのだが、こってこて本格的メインストリーム・ジャズのMJQまで扱っているのを知ったのは、ほんに10年位前。
この盤では「成熟仕切った」MJQのパフォーマンスを確認することが出来る。冒頭からの3曲、「Walkin' Stomp」「Dancing」「Plastic Dreams」では、成熟しきって、これ以上の「伸びしろ」は無いのでは無いかと思われるくらいの流麗で完璧な演奏。「Plastic Dreams」では、ジョン・ルイスはハープシコードを取り入れて、演奏に変化を付けている。MJQ独特の「良い意味でのスノッブな雰囲気」が増幅されているところが、実にMJQらしい。
後半の3曲「Variations on a Christmas Theme」「Trav'lin」「Piazza Navona」では、トランペット、ホルン、チューバの管が入った、MJQとしては珍しい演奏内容になっている。ただ、MJQはもともと4人のパフォーマンスの最高の表現が出来るグループなので、管のバッキングはあまり必要が無い、どころか、MJQのパフォーマンスを楽しむのに、ちょっと邪魔だなと思う位だから、この管入りは蛇足だろう。それでも「Trav'lin'」のミルトとルイスのアドリブ・ソロの流れは絶妙で惚れ惚れする。
AppleレコードからリリースされたMJQの異色盤ではあるが、内容は充実している。というか、ほとんど成熟しきった流麗さは、イージーリスニング・ジャズの域を超え、そのテンションたっぷり、テクニック最高な演奏は、聴いていて、ちょっと耳にもたれるくらい。この盤の3年後、一旦、活動を停止するのも理解出来る位の、相当高い成熟度がちょっと「もたれ気味」だが、一筋縄ではいかない、内容充実の優秀盤であるには違いない。
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