西海岸の小粋な「2テナー」盤
「小粋なジャズ」を探し当てては聴いている。最新の新盤や昔のフリー・ジャズを聴き込んだ後、耳休めと気分転換に「高貴なジャズ」盤を聴く。以前から聴き込んだアルバムも良いが、これは聴いたことが無いなあ、とか、前に聴いたけどもう一度聴きたい、といった「小粋なジャズ」盤に出会えた時が一番嬉しい。
Bill Perkins『Tenors Head-On』(写真左)。1956年7月の録音。Libertyレーベルの LRP 3051番。ちなみにパーソネルは、Bill Perkins (ts, b-cl), Richie Kamuca (ts), Pete Jolly (p), Red Mitchell (b), Stan Levey (ds)。米国西海岸ジャズのテナー・マン、ビル・パーキンスとリッチー・カミューカがフロント2管のクインテット編成。フロント楽器がテナー2本なので、変則な「ワンホーン・カルテット」と解釈しても良い編成。
昔、旧スイング・ジャーナル誌の別冊「幻の名盤読本」でこの盤の存在を初めて知った。東海岸ジャズでフロント2管がテナー同士だったら、即、テナー・バトルがウリのジャムセッションか、と構えるのだが、西海岸ジャズでのフロント2管がテナー同士である。優れて小粋なアレンジが施されて、2本のテナーをどう活かして、どう聴かせてくれるのか、と聴く前からワクワクする。
聴けば、さすが西海岸ジャズ、アレンジ優秀、テクニック優秀、聴かせるジャズでグイグイ押してくる。まずは、タイトル通り、パーキンスとカミューカのテナーの「ユニゾン&ハーモニー、そして、チェイス」がアーバンで小粋でお洒落。俺が俺が、と前に出ようとするテナー・バトルでは無く、相手の音をちゃんと聴いて反応して、その瞬間その瞬間に相応しいフレーズを紡ぎ上げている。もともと2人ともテクニックで勝負するタイプでは無い。2人のテナーが双方で良い方向に共鳴して、良い雰囲気を醸し出している。
セッション・メンバー間のチーム・ワークが抜群。特に、ピート・ジョリーのピアノ、レッド・ミッチェルのベース、スタン・レヴィーのドラムのリズム・セクションが良い音を出していて小気味良い。さすが西海岸ジャズのリズム隊、出てくるリズム&ビートがクールでお洒落。それぞれの楽器のソロも「小粋」。それでいて、リズム・キープ感はバッチリで、このリズム隊あっての「2テナー」の快演である。
アルバムを聴き通して、この盤、典型的な「ウエストコースト・ジャズ」な内容。ジャズ盤紹介本やジャズ誌の名盤紹介では、そのタイトルが上がることが先ず無い盤ですが、録音年を見れば「1956年」。ウエストコースト・ジャズ全盛期の中で録音された「隠れ名盤」でしょう。ジャケがちょっと平凡ですが、そこは「ご愛嬌」ということで....(笑)。
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