北欧ジャズの好トリオ盤です
北欧ジャズが好きだ。1970年代後半、本格的にジャズを聴き始めた頃、友人からECMレーベルのアルバムを紹介されて、その耽美的でリリカルで流麗なフレーズと余裕のある大らかで包容力のあるリズム&ビートに驚いた記憶がある。それまで「ジャズ」と思って聴いていた米国ジャズと全く異なる雰囲気。これが欧州ジャズか、とひどく感心した。
Helge Lien Trio『Revisited』(写真左)。2020年3月31日、10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Helge Lien (p), Johannes Eick (b), Knut Aalefjaer (ds)。ノルウェーのヘルゲ・リエン (p) がリーダーのピアノ・トリオの、2019年の『10』以来となる最新作。演奏曲は、過去に演奏したもののセルフ・カヴァーである。
一聴して「これは北欧ジャズやな」と思うくらいの、北欧ジャズの特徴溢れるピアノ・トリオ演奏。北欧ジャズの雰囲気をグローバル・サイズで知らしめたのは、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットの功績が大きいと思うが、確かに、キースのピアノで聴いたことのある雰囲気、フレーズが出てくる。が、基本的に「タッチと手癖」が異なるので、キースの物真似とは感じ無い。逆に「北欧ジャズ」の典型的な演奏が出てきたぞ、と嬉しくなる。
オール・ノルウェーのメンバー構成。ゆったりとした、少しほのぼのとした、仄かに明るく、耽美的でリリカルで流麗な音世界。硬質ながら、ややエッジの丸いリエンのピアノ、程良く絡むエイクのベース、多彩で柔軟度の高いオーレフィアールのドラム。透明度の高い楽器の響き。印象的なエコー。
リエンのピアノが個性的で良い。クールで冷たい熱気が伝わってくるのだが、どこかほのぼのと暖かい響きがする。雰囲気的には「北欧の夏」の様な、明るく暖かなピアノの響き。テクニックに優れ、速い弾き回しには淀みは無い。でも、そのテクニックをひけらかすことは無い。北欧ジャズらしい、耽美的でリリカルで流麗なフレーズを、余裕を持った、ゆったりとした雰囲気で、しっかりと聴かせてくれる。このリエンのピアノは「癖になる」。
4ビートのスイングでなければ、ファンクネスは皆無、ジャム・セッション風のバトルも無い。それでも「ジャズ」である。冷たい熱気溢れる、クールでスタイリッシュな展開。硬軟自在、緩急自在の柔軟度の高い、即興性溢れるアドリブ。エコーのかかった独特の透明度の高い響きは「北欧ジャズ」の最大の個性。そんな「北欧ジャズ」の雰囲気満載の好トリオ盤である。
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