1955年のミンガス・コンボ
ジャズ・ベーシストのリーダー作を整理している。ジャズの歴史上に名を残している一流ベーシストについては、リーダー作の殆どは押さえておきたい。そう思って整理していると、まだ、しっかりと聴いていなくて、このブログに感想記事をアップしていないアルバムが結構ある。
そもそも、他の楽器に比べて、ジャズの歴史上に名を残している一流ベーシストの数が少ない。チャールズ・ミンガス、レイ・ブラウン、ロン・カーター、ポール・チェンバース、ジミー・ギャリソン、パーシー・ヒース、チャーリー・ヘイデン、最近では、クリスチャン・マクブライド、ジャコ・パストリアス、マーカス・ミラー、と、これくらいしか浮かばない。
ぼやきはさておき、先ず手始めに「チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)」の整理。意外と聴きかじったままのリーダー作が沢山ある。ディスコグラフィーを確認していて、かの有名な1956年の『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』以前のリーダー作については、聴いたことが無いリーダー作もあることが判明。これはいけない、ということで、早速、真剣に聴き直し。
Charles Mingus『Mingus at the Bohemia』(写真左)。1955年12月23日、NYのカフェ・ボヘミアでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b, cello), George Barrow (ts), Eddie Bert (tb), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds), Max Roach (ds, on "Percussion Discussion" only)。名盤『直立猿人』(1956年)リリース前年のライブ録音になる。
この頃のミンガスといえば『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』ばかりがクローズアップされるが、どうして、このカフェ・ボヘミアのライヴのパフォーマンスも「直立猿人」に勝るとも劣らない内容。もうこの頃、既に「ミンガス・ミュージック」は確立されていたことが良く判る。
冒頭の「Jump Monk」は、後の「直立猿人」に似た構造をした秀曲。初めて聴いた時は「直立猿人」かと思いましたぜ。よく聴くとちょっと違う。でも、ベースのオスティナートから始まり、2管のアンサンブルが被さり、シンコペーションで進み、テーマをバーッと展開して、後はブレイキング・コーラスからアドリブというところなんぞ、雰囲気はそっくり。
他の曲、特にスタンダード曲の「Serenade in Blue」「Septemberly」「All The Things You C#」のアレンジと演奏が秀逸。他のハードバップなアレンジとは一味もふた味も違う、ミンガス・オリジナルなアレンジが見事。ミンガスはリーダー作をオリジナル曲で固めることが多いが、スタンダード曲を扱わせても「超一級品」。この盤でもその才能を遺憾なく発揮している。
ダニー・リッチモンド、ジミー・ネッパー、エリック・ドルフィーといった強烈な曲者ジャズマンを従えたミンガスの「黄金のコンボ」以前のパフォーマンスなんだが、その「黄金のコンボ」には及ばないにせよ、予想外に充実しているのには感心した。マイルス同様、当時のミンガス周りのジャズのレベルは高い。
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