チックの尖ってカッ飛んだ傑作
チックのピアノは「硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れるタッチ」で、現代音楽風の、前衛的な響きを宿したピアノの弾き回しが特徴。そんな尖ったタッチで、尖ってばかりでは無い、流麗でメロディアスなフレーズを弾いたり、スパニッシュ・フレーバーなフレーズを弾いたり、ロマンティシズムな弾き回しが堪らない。
そんなチックが、若かりし頃、最高に尖って、フリー一歩手前のガンガン自由度高い弾き回しでブイブイ言わせていた時期がある。そんな時期、チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の尖った2枚のリーダー作の2枚目がこの盤。
Chick Corea『A.R.C.』(写真)。1971年1月11ー13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Dave Holland (b), Barry Altschul (ds)。もちろん、このチック率いるトリオは「Circle(サークル)」のリズム・セクションそのもの。
この盤は、まだ駆け出しのECMレーベルからのリリース。チックの尖った現代音楽風の限りなく自由度の高いモーダルな演奏」に着目した、ECMも総帥プロデューサー、マンフレート・アイヒャーの慧眼、恐るべしである。
チック率いるリズム・セクションの「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」の前作『The Song of Singing』にも増して、尖りに尖った、ぶち切れて、カッ飛んだチックのピアノが凄まじい。ECMエコーの録音に、チックの現代音楽風の、前衛的な響きを宿した硬質で尖ったタッチが心地良く響く。ホランドのベースは締まった低音でチックを支え、アルトシュルのドラムは、ど天然で自由なポリリズムでチックを鼓舞する。
そして、前作『The Song of Singing』のラストに収録されていた、ショーター作のモーダルな名曲「Nefertiti」が、この盤にも演奏されていて、しかも先頭に収録されている。これが凄い。本当にギリギリでフリーの手前、限りなく自由度の高いモーダルな「Nefertiti」が疾走する。
このECM盤の「限りなく自由度の高いモーダルな演奏」には、流麗でメロディアスなフレーズ、スパニッシュ・フレーバーなフレーズなど、ロマンティシズムな弾き回しは皆無。ただただ、尖ってカッ飛んだ、現代音楽風の前衛的な響きを宿した、硬質で切れ味の良いエッジの立ったスピード感溢れる「インタープレイ」だけが疾走する。
アルバムのタイトルは、当時、チックが関わっていたサイエントロジーの用語である「Affinity, Reality, Communication(親和性、現実、コミュニケーション)」の略。よくよく見ると、タイトルからして、むっちゃ尖ってカッ飛んでいる(笑)。
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