明るくライトなメッセンジャーズ
昨日「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』)」について語ったついでに、Art Blakey and The Jazz Messengers(ジャズ・メッセンジャーズ)盤の落ち穂拾いを再開。
ブレイキーはジャズ・メッセンジャーズも含めて、とにかく多作のジャズ・レジェンド。しかも、凡作駄作の類は殆ど無い。全てのリーダー作を聴いて、その感想を記事にするにはかなりの労力と時間がかかる。故に、まだまだ全てのリーダー作を網羅するには至っていない。
ブレイキーは、ブルーノート・レーベルのお抱えドラマー的ポジションにいたので、ブルーノートにリーダー作が集中している。が、他のジャズ・レーベル、それも傍系のマイナーなレーベルにもリーダー作を残していたりして、全リーダー作の音源を押さえるのに骨が折れる。
Art Blakey and The Jazz Messengers『Soul Finger』(写真左)。1965年5月12, 13日、NYでの録音。Limelightレーベル(Mercury Records傘下の傍系レーベル)からのリリース。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Gary Bartz (as), Lucky Thompson (ss), John Hicks (p), Victor Sproles (b)。いやはや、曲者揃いのパーソネル。
パーソネルだけ見ると、どんな音が出てくるのか、想像するのが困難。まず、トランペットが2本、それも、ハバードとモーガンである。前へ出すぎるハバードに頭にきて喧嘩しないのだろうか、心配になる(笑)。
ベテランの曲者リード奏者トンプソンがソプラノを吹き、新進気鋭のゲイリー・バーツがアルト・サックスを吹く。新旧まぜこぜになって、ユニゾン&ハーモニーは大丈夫なんだろうか。ベースのスプロールズは1950年代半ばから1960年代まで活動したマイナーなベーシスト。リズム・セクションは大丈夫なのか。
で、出てくる音を聴くと、この盤も例の「柔道着のブレイキー(Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』」と同傾向の音の志向で、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で、この盤ではとてもリラックスした展開が印象的。全体的な音のトーンは「明るくライトでポップ」。
ソフト&メロウなユニゾン&ハーモニー、流麗で優しいアドリブ展開。曲者揃いのパーソネルなのに、これだけソフト&メロウなファンキー・ジャズに仕上がってのが不思議。さすが、ブレイキー御大のリーダーシップの成せる技だろう。曲者揃いのパーソネルでありながら、キッチリと「ジャズ・メッセンジャーズの音」に仕上げている。
バンド演奏全体で、リフ、ユニゾン&ハーモニーをビシッと決めて、ブレイキーならではのドラム・ロールが、ソフト&メロウなファンキー・ジャズをビシッと締める。参加メンバーが大きく代わっても、ジャズ・メッセンジャーズの音志向は変わらない。
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