ライヴ「不思議の国のミンガス」
チャールズ・ミンガスのリーダー作を聴き継いでいると、曲毎のテーマでのフロント楽器の奏でるフレーズを聴くと、すぐに「これはミンガスの音」だと判る。ミンガス・ミュージックの音の響きは独特の個性があって、これは、あの偉大なジャズ界のレジェンド、デューク・エリントンの音に通じるもの。
ミンガスはエリントンを一生敬愛していたと言い伝えれれる位、ミンガスはエリントン・ミュージックの信奉者で、ミンガス・ミュージックは、エリントン・ミュージックの継承とも言えるだろう。ミンガスは事あることに、エリントンに対する「畏怖」を表明し、エリントン・ミュージックを効果的に借用する。
Charles Mingus『Jazz Portraits: Mingus in Wonderland』(写真左)。1959年1月16日、NYの「Nonagon Art Gallery」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), John Handy (as), Booker Ervin (ts), Richard Wyands (p), Dannie Richmond (ds)。
ジョン・カサベテスの映画処女作「アメリカの影」のために書かれた曲(「Nostalgia in Times Square」と「Alice's Wonderland」)などをミンガス流にアレンジしてライヴ録音したもの。フロント2管+リズム・セクションのクインテット編成。わずか5人で演奏しているとは思えないほど、演奏される音は「分厚く迫力がある」。
フロント2管のユニゾン&ハーモニーに厚みがあって、リズム隊のピアノとドラムの低音が効果的に重なって、その底に「超重量級」のミンガスのブンブン・ベースが鳴り響いて、分厚い音圧の高い演奏が耳に飛び込んでくる。これが、ミンガス・ミュージックの真骨頂。ミンガスのアレンジの成せる技である。
ジョン・ハンディのアルト、ブッカー・アーヴィンのテナー2管が好調で、特に、ジョン・ハンディが絶好調。ミンガスはフロント管のメンバーのスカウトに長けているが、この二人も、ミンガス・ミュージックの「分厚い音圧の高い」音世界に大きく貢献している。このフロント2管が活き活きと吹き回している様が実に「ジャズしている」。
このライヴ・パフォーマンスは、バンド全体が適度なテンションの中、良い意味でリラックスして、演奏を楽しんでいる様子が良く判る。そんな良い雰囲気の中、ミンガス御大もリラックスした、伸び伸び自由なベースラインをブンブン、低音を鳴り響かせながら、弾きまくっている。ほんと、全編、楽しそうに演奏している。
このライヴ盤では「ミンガス流のジャングル・ミュージック」をしっかりと感じ取れる。アルバム全体の収録時間はちょっと短くて物足りなさは残るが内容は良い。
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