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2023年1月11日 (水曜日)

柔道着を着たブレイキー御大

ブルーノート・レーベルやECMレーベル、スティープルチェイス・レーベルのお陰か、ジャズ盤のジャケット・デザインは優れている、とされる向きがある。が、よくよく見直してみると、優れたデザインが約半分、残りの半分の3割がどっちつかずの平凡なデザイン、そして、後の2割はどうしてこうなるのか理解に苦しむ、どうみても「トホホ」なデザインである。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Golden Boy』(写真左)。1963年の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Freddie Hubbard, Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Charles Davis (bs), Wayne Shorter (ts), James Spaulding (as), Cedar Walton (p), Reggie Workman (b), Julius Watkins (French horn), Bill Barber (tuba)。フロント6管+リズム・セクションの9人編成(ノネット)がメイン。

パーソネルを見渡すと、この11人編成の大所帯が面白い楽器構成になっている。フロント管がトランペット2本、トロンボーン1本、バリトン、テナー、アルトのサックスで計3本、ジャズ・メッセンジャーズとしては珍しいのだが、ここにフレンチホルンとチューバが加わる。誰のアイデアだったのだろうか。

リズム・セクションは、ブレイキー御大のドラムに、ピアノ、ベースのオーソドックスなもの。アレンジに、テナーのショーター、トロンボーンのフラー、ピアノのウォルトンの3人がそれぞれ分担して腕を振るっている。
 

Art-blakey-the-jazz-messengersgolden-boy

 
ブロードウェイのミュージカル『Golden Boy』での楽曲を元に、Colpixというレーベルからリリースされた企画盤。ミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、曲の粒は揃っていてアルバム全体の構成は充実している。フロント6管+リズム・セクションの9人編成+リズム・セクションにフレンチ・ホルン、チューバが加わるので、しっかりとしたアレンジが施されている様子が良く判る。

フロント管のユニゾン&ハーモニーは、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音の雰囲気を踏襲した、ファンキーで小粋で迫力と覇気溢れるもの。3管フロントにトランペット、アルト・サックス、バリトン・サックスをそれぞれ1本、さらにフレンチ・ホルンとチューバを加えているので、音の彩りが華やかになり、迫力と音圧が増していて、豊かで豪華な音作りが良い感じ。

加えて、ハバード、モーガン、フラー、スポルディングのソロイストのパフォーマンスが好調で聴き応えがある。リズム・セクションも優れたバッキングでフロント管を支えている。我が国では馴染みのないミュージカルからの楽曲のジャズ化なので、馴染みが全く無いが、アルバム全体、当時の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音志向をしっかり引き継いでいて、内容的に充実している。

ただし、である。このジャケットはなあ(笑)。柔道着を着こなしたブレイキー御大が腕組みをして仁王立ちのアップ。これだけ見たら、このアルバム、ジャズのアルバムとは思わないでしょうねえ(笑)。でも内容は良い感じのファンキー・ジャズであり、当時充実の3管フロントのジャズ・メッセンジャーズの音が堪らない好盤。このジャケに怯むこと無く聴いて欲しい好盤です。
 
 

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