「ブルーベック4」初期の傑作盤
Dave Brubeck(ディブ・ブルーベック)のリーダー作の「落ち穂拾い」をしている。
もともと、ブルーベックのピアノが好きなので、当ブログでは、ブルーベックのリーダー作はかなりの数、記事にしてアップしている。が、ブルーベックはキャリア上、リーダー作については「多作の人」。ブルーベックを語る上で、重要と思われる盤もスポッと抜けていたりして、もう少し、充実させる必要があるなあ、と感じた次第。
Dave Brubeck Quartet『Jazz At Oberlin』(写真左)。1953年3月2日、米国オハイオ州のOberlin Collegeでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Dave Brubeck (p), Paul Desmond (as), Lloyd Davis (ds), Ron Crotty (b)。ブルーベック=デスモンドの「大学巡回ライヴ」の中の「とりわけ優れた」1枚である。
収録曲は全て「有名な」スタンダード曲。しかし、全曲、ブルーベックのアレンジが秀逸で、他の同一曲の演奏とは異なる、オリジナリティ溢れる「ブルーベック=デスモンド」ならではの個性的な演奏に仕上がっている。
スタンダード曲の持つ流麗なテーマ部は、はっきりとそれと判る、判り易いフレーズで印象付け。アドリブ展開では、ブルーベック独特のスクエアにスイングする、現代音楽の様な硬質タッチのピアノと、流麗に優しく語りかける様に、ソフト&メロウな、デスモンドのアルト・サックスとが対比する様な、独特な雰囲気を醸し出すインタープレイが見事。
以降の「ブルーベック=デスモンド」のカルテット演奏の個性は、この時点で完全に確立されている。
横揺れにスイングすることは無く、ファンクネスは皆無。それでも、このカルテット演奏は「ノリ」が良い。そして、出てくるフレーズがキャッチャーで流麗。ブルーベックの硬質タッチのピアノのフレーズは実に捉えやすく、流麗で柔らかなデスモンドのアルト・サックスは聴いていて、とても心地良い。その2人のパフォーマンスを支えるリズム隊は堅実で破綻が無い。
つまりは「ブルーベック=デスモンド」のカルテット演奏は判り易く、親しみ易いのだ。聴き手にしっかり訴求する「ブルーベック=デスモンド」のジャズ。聴衆もそれをしっかり感じて、ノリノリで演奏を楽しんでいる様子が良く判る。
僕がジャズを聴き始めた1970年代後半、我が国におけるブルーベックの評価は甚だ悪かった。やれスイングしないだの、やれ歌心が無いだの、そして、酷いなあと思ったのは「下手くそ」という評価。
しかし、僕は「秘密の喫茶店」で、この「大学巡回ライヴ」の中の「とりわけ優れた」1枚を聴かせてもらって、ブルーベックのピアノのファンになった。ジャズを本格的に聴き始めた良い時期に、ブルーベックの「真の演奏」を聴くことが出来、ブルーベックのピアノを「聴き誤らなかった」のは幸いだった。やっぱり、ジャズは自分の耳で聴いて、自分の耳で判断するのが一番だ。
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