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2022年12月14日 (水曜日)

クリスの "バードランドの子守唄"

ベツレヘム・レーベルのアルバムを、Bethlehem 6000 series (12 inch LP)」のカタログから、カタログ番号順に聴き直している訳だが、カタログを見渡すと、ジャズ・ボーカルのアルバムが散見される、というか、資料によると、全カタログの4分の1がジャズ・ボーカルのアルバムとのこと。他のジャズレーベルと比べると、かなりボーカル盤が多いということになる。

ベツレヘムの創始者、ガス・ウィルディは、他社とは違うことをやらなければ、レコード・ビジネスで勝負していけない、と思っていたらしく、その切っ掛けは、レーベル初期の「クリス・コナーのアルバムのヒット」だろう。このクリス・コナーのアルバムのヒットによって、ボーカル重視路線が固まったと思う。しかも、ベツレヘム・レーベルは、名の売れたボーカリストよりは、新人を発掘して世に出すことに力を入れていた、とのことだが、カタログを見渡すとその傾向が良く判る。


Chris Connor『Sings Lullabys of Birdland』(写真)。録音日時とパーソネルは3つ分かれる。1-5曲目が、1954年8月9 & 11日の録音で、バックは、Ellis Larkin (p) Trio。6-8曲目が、1953年12月17 &18日の録音で、バックは、Sy Oliver (arr.cond) 's Orchestra。9ー14曲目が、1954年8月21日の録音で、バックは、Vinnie Burke (b) Jazz String Quartet。録音場所は全てNY。
 

Chris-connorsings-lullabys-of-birdland

 
この盤が、その「クリス・コナーのアルバムのヒット」の1枚。聴くと判るが、とても馴染み易い、女性ジャズ・ボーカルである。正統派なジャズ・ボーカルの特徴である、フェイクやビブラート、シャウトなどがほとんど無い。クリスの声はハスキーで明確、パワフルでメロー。耳に優しく、耳に馴染む、しっとりした、どこか爽やかな歌声。

選曲も良い。3つのセッション(3つの10" LP盤)の寄せ集めではあるが、クリスのボーカルを前面に出した録音がメインなので、それぞれアレンジやバックの演奏が異なるのだが、しっかりとした統一感があって、寄せ集め感が無いのも良い。1曲当たり、3分程度と短いが、クリスのボーカルを愛でる上では気にならない。とにかく、聴いていて心地良い女性ボーカル盤である。

聴き終えて、クリスのボーカルの良さが沁みてくる、なるほどクリスの代表盤、と感心する内容です。良い意味で「ながら聴き」も出来るジャズ・ボーカル盤。当時、クリスのボーカルは、ジャズファン以外の他のジャンルのボーカル好きにも訴求したのではないか、と思います。当時、ヒットしたのが良く判りますね。
 
 

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