マイルス・ジャズの新たな解釈
今週の水曜日に「マイルス・ジャズの高度な再現」と題して、マイルス・デイヴィス没後30年を記念し、ACTの創始者シギ・ロッホのキューレーションで、2021年にベルリンで行われたコンサートの模様をとらえたライヴ盤をご紹介した。
特に後半は、マイルスとギル・エヴァンスとのコラボでのジャズ・オーケストラの名演を、マグナス・リンドグレンのアレンジ&指揮の下、シオ・クローカー・カルテットとベルリン・フィルとの共演で再現したもので、なかなかの「聴きもの」だった。
『Miles Español - New Sketches of Spain』(写真)。2011年のリリース。曲毎に、メンバーを総入れ替えしているイメージ。収録曲もCD2枚組で16曲。1曲当たり平均5人としても、のべ80人以上になるので、パーソネルについては割愛する。マイルス・ディヴィス生誕85年・没後20周年記念企画盤である。
アルバムの概要を引用すると「敏腕プロデューサー、ボブ・ベルデンが、新たな解釈を加えた現代版『Sketches of Spain』を録音。チック・コリア、ジョン・スコフィールド、ジャック・ディジョネット等、マイルスゆかりのミュージシャンとスペインのアーティスト等を起用し、マイルスが“スペインのブルース”として捉えたフラメンコをより深化させたサウンドを展開」とある。
この盤は「マイルス・ジャズの新たな解釈」の成果である。ボブ・ベルデンをプロデューサーとして、マイルス&ギルの『Sketches of Spain』をモチーフに大胆な新しい解釈を付加して、チック、ジョンスコ、ディジョネット等、マイルスゆかりのジャズマンと、興味深いのはスペインのアーティスト等を起用して、本場のフラメンコの雰囲気を前面に押し出しているところ。
CD2枚組、収録曲全16曲。それぞれの曲を担当するジャズマンのパフォーマンスも充実、素敵で小粋な「スパニッシュな雰囲気が横溢するジャズ」が展開されている。但し、『Sketches of Spain』をモチーフにしているだけなので、本家本元、マイルス&ギルの『Sketches of Spain』との関連性は、ほとんど感じることは無い。ボブ・ベルデンがプロデュースをした、新しい「ストイックなラテン・ジャズ」と言った方がピンとくる。
これって、チックが1970年代からずっとやってきたことやん、と、ちょっと心の片隅でぼやきつつ、それぞれの演奏については、非常に高度かつテクニカル、モーダルで即興性抜群とくるのだから、この盤については、本家本元の『Sketches of Spain』から切り離して、この盤のみで十分、鑑賞に耐える内容になっている。
タイトルがちょっと誤解を生むのかも。でも副題に「新しいスペインのスケッチ」とあるのだから、本家本元の『Sketches of Spain』を踏襲していなくても納得がいく。そうこの盤は「新しいスペインのスケッチ」を現代ジャズで、優秀どころが集まって、ブワーッとやっているという感じ。力作だと思います。
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