ジャズ・バイオリンの名盤の1つ
ジャズ・バイオリンはジャズの中でもかなりマイナーな存在。有名なジャズ・バイオリニストとして、僕の頭に浮かぶのが、ステファン・グラッペリ、ジャン=リュック・ポンティ、そして、寺井尚子。この3名くらいしか浮かばない。調べれば、14〜5名くらいはいるみたいだが、先に挙げた3名以外、知らない名前ばかりで、当然、リーダー作に出会った記憶も無い。
その僕の頭に浮かぶジャズ・バイオリニストの中で、一番、良く聴いたのが、ジャン=リュック・ポンティ。特にジャズを本格的に聴き始めた頃、1970年代終わり以降、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズのジャン=リュック・ポンティを良く聴いた思い出がある。が、最近、とんと御無沙汰。もう音のイメージも薄れつつあるので、これではいかん、とポンティの主だったリーダー作を一気聴きである。
ジャン=リュック・ポンティ。1942年9月29日フランス生まれ。クラシック音楽に囲まれた環境で育つが、ステファン・グラッペリやスタッフ・スミスのジャズ・バイオリンの演奏を聴いて、クラシックからジャズに転向。
高度なテクニックで、ロック〜ハイテク・フュージョン感覚のバイオリンが個性。この『King Kong』では、クロスオーバー・ジャズ志向の演奏の中で、ロック・テイストなバイオリンを弾きまくっている。
『King Kong: Jean-Luc Ponty Plays the Music of Frank Zappa』(写真)。1969年10月6ー7日の録音。難解&変態の孤高のロッカー「フランク・ザッパ」の名曲のカヴァー集。
ちなみにパーソネルは、Buell Neidlinger [A1, B1, B2], Wilton Felder [A2 to A4] (b), Arthur Dyer Tripp III [A1, B1, B2], John Guerin [A2 to A4] (ds), George Duke (el-p), Jean-Luc Ponty (el-vln), Ernie Watts (A2 to A4) (sax), Frank Zappa (arr, g [A4])。
ザッパの名曲のカヴァーに、ザッパ本人がアレンジとエレギまで担当(曲: A4,m)している。そして、エレピにジョージ・デューク。ザッパの名曲のカヴァーなので、ロック・テイストに音の志向が傾く傾向にあるところを、しっかりとジャジー&ファンキーな要素を積極的に注入して、アルバム全体をクロスオーバー・ジャズの音の志向に落ち着かせているのは、ジョージ・デュークのエレピ。
ジョージ・デュークがしっかり押さえたクロスオーバー・ジャズな音世界の中で、ポンティはロック・テイストなバイオリンを弾きまくる。音の特徴としては、アタッチメントを効果的に適用したエレギの様な音なんだが、エレギのサスティーン以上に太い音の伸びがあるところ。バイオリンでなければ、この太い音の伸びは出ないだろう。ジャズ・バイオリンの特徴を最大限に活かした、クロスオーバーな弾き回しは見事。
ロック・テイストなポンティのバイオリンに相対する、ロック・テイストなサックスは誰だろうとパーソネルを見たら、なんと「アーニー・ワッツ」が大活躍である。ローリング・ストーンズのサックスの音が、この盤に充満している。ザッパの名曲のカヴァーとしては、ワッツのテナーは適任だろう。
ロックのユニークな名曲をカヴァーした、クロスオーバー・ジャズの名盤の1枚だろう。ポンティのジャズ・バイオリンも聴きどころ満載である。
《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!
★ AORの風に吹かれて
★ まだまだロックキッズ 【New】 2022.12.06 更新。
・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。
★ 松和の「青春のかけら達」
★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
東日本大震災から11年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
« 現代のピアノ・トリオの好例の1つ | トップページ | オーストラリア出身のカルテット »
コメント