現代のピアノ・トリオの好例の1つ
New York Trio。トリオ名からして「胡散臭い」(笑)。とかく評判の良くない、日本発のヴィーナス・レコードからのリリースが主。これまた「胡散臭い」(笑)。才能ある若手〜中堅ピアニストのフォービートな純ジャズ・トリオで、しかも、スタンダード曲が中心の演奏。これまた「胡散臭い」(笑)。
正直言って、最初、このトリオのアルバムに出会った時、そんな「胡散臭さ」満載で触手が伸びなかった。が、ピアノ担当のビル・チャーラップのピアノがお気に入りになり、チャーラップがピアノを担当しているのなら、ありきたりな「やらせ」なピアノ・トリオ盤にはならないだろう、という見通しの中、一気に3〜4枚、New York Trioのアルバムを集中聴きした。
チャーラップのピアノは「耽美的でリリカル、そしてバップなピアノ」。それまでに無い、新しいモーダルな響き。ハードバップ期の焼き直しでは無い、新しい感覚のモーダルなバップ・ピアノが新しい。そこに、レオンハート~スチュワートのリズム隊が、これまた新しいイメージのリズム&ビートを駆使して、チャーラップ共々、新しいイメージが散りばめられたインタープレイを繰り広げている。New York Trio 侮り難しである。
New York Trio『The Things We Did Last Summer』(写真左)。2002年4月3ー4日、NYでの録音。邦題『過ぎし夏の思い出』。ちなみにパーソネルは、Bill Charlap (p), Jay Leonhart (b), Bill Stewart (ds)。収録曲は全曲スタンダード曲で固めている。1〜2曲は自作曲を挟むのが慣わしだが、実に潔い選曲である。逆に、この方が、このピアノ・トリオの個性が良く判る。
選曲が渋い。このNew York Trioは、ゆったりとしたバップっぽい演奏が得意なんだが、この盤の選曲は「バッチリ」である。「The Things We Did Last Summer」「How High The Moon」「It's Only A Paper Moon」などは「ウットリ」。手垢の付いた、どスタンダードの「You'd Be So Nice To Come Home To」「As Time Goes By」は、斬新なアレンジと高度なテクニックで、今まで無い、新しい魅力を付加しているのは立派。
そして、冒頭の「The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)」のチャーラップのピアノ・ソロが絶品。これこそ、チャーラップのピアノの個性。耽美的でリリカル、そしてバップなピアノ。それにバッチリ合わせたリズム&ビートを叩き出すレオンハート~スチュワートのリズム隊。現代のピアノ・トリオの「最良のパフォーマンス」のひとつがこの盤に記録されていると思う。
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